命題II-10
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題II-10 直線が二等分され、それが任意に延長されるとき、延長部分を含めた全体の直線と延長部分上の正方形の和は、直線の半分上の正方形と残りの半分に延長部分を加えた直線上の正方形の和の二倍に等しい。
作成:2006-08-06
更新:2011-03-10

命題II-10

Ἐὰν εὐθεῖα γραμμὴ τμηθῇ δίχα, προστεθῇ δέ τις αὐτῇ εὐθεῖα ἐπ᾽ εὐθείας, τὸ ἀπὸ τῆς ὅλης σὺν τῇ προσκειμένῃ καὶ τὸ ἀπὸ τῆς προσκειμένης τὰ συναμφότερα τετράγωνα διπλάσιά ἐστι τοῦ τε ἀπὸ τῆς ἡμισείας καὶ τοῦ ἀπὸ τῆς συγκειμένης ἔκ τε τῆς ἡμισείας καὶ τῆς προσκειμένης ὡς ἀπὸ μιᾶς ἀναγραφέντος τετραγώνου.
 直線が二等分され、それが任意に延長されるとき、延長部分を含めた全体の直線と延長部分上の正方形の和は、直線の半分上の正方形と残りの半分に延長部分を加えた直線上の正方形の和の二倍に等しい。
(2a+b)⊗(2a+b) + b⊗b = 2(a⊗a+(a+b)⊗(a+b))
 直線ABがCで二等分され、BDをその任意の延長とするとき、ADとDB上の正方形の和はACとCD上の正方形の和の二倍に等しいと主張する。
 CEをCを通り、ABに垂直に立て[命題I-11]、ACとCBに等しくなるようにし[命題I-3]、EAとEBを結ぶ。EFをEを通り、ADに平行に引く[命題I-31]。FDをDを通り、CEに平行に引く[命題I-31]。ECとFDは平行であり、EFはそれらと交わっているから、CEFとEFDの和は二直角である[命題I-29]。したがって、FEBとEFDの和は二直角より小さく、内角が二直角より小さい二直線を延長すると交わることから[公準P-5]、BとDの方向へ延長するとEBとFDは交わる。その交点をGとし、AGを結ぶ。ACはCEに等しく、EACはAECに等しい[命題I-5]。Cにおける角は直角であるから、残りの角EACとAECはそれぞれ直角の半分に等しい[命題I-32]。同じ理由でCEBとEBCもそれぞれ直角の半分である。したがって、AEBは直角である。EBCは直角の半分であるから、その対頂角DBGも直角の半分である[命題I-15]。同位角DCEに等しいことからBDGは直角であり[命題I-29]、残りのDGBは直角の半分であるから、DGBはDBGに等しい。よって辺BDは辺GDに等しい[命題I-6]。EGFは直角の半分で、Cに向かい合う角Fは直角であるから[命題I-34]、残りのFEGは直角の半分であり、EGFとFEGは等しい。したがって、GFとEFは等しい[命題I-6]。ECはCAに等しいから、EC上の正方形はCA上の正方形に等しく、ECとCA上の正方形の和はCA上の正方形の二倍である。EA上の正方形はECとCA上の正方形の和に等しく[命題I-47]、EA上の正方形はAC上の正方形の二倍である。FGはEFに等しいから、FG上の正方形はFE上の正方形に等しく、GFとFE上の正方形の和はFE上の正方形の二倍である。EG上の正方形はGFとFE上の正方形の和に等しく[命題I-47]、EG上の正方形はEF上の正方形の二倍である。EFはCDに等しいから[命題I-34]、EG上の正方形はCD上の正方形の二倍である。EA上の正方形はAC上の正方形の二倍であったから、AEとEG上の正方形の和はACとCD上の正方形の和の二倍である。AG上の正方形はAEとEG上の正方形の和に等しいから[命題I-47]、AG上の正方形はACとCD上の正方形の和の二倍に等しい。一方、AG上の正方形はADとDG上の正方形の和に等しいから[命題I-47]、ADとDG上の正方形の和はACとCD上の正方形の和の二倍に等しい。DGはDBに等しいから、ADとDB上の正方形の和はACとCD上の正方形の和の二倍に等しい。
 ゆえに、直線が二等分され、それが任意に延長されるとき、延長部分を含めた全体の直線と延長部分上の正方形の和は、直線の半分上の正方形と残りの半分に延長部分を加えた直線上の正方形の和の二倍に等しい。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888