命題I-29
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題I-29 一つの直線が平行な二つの直線と交わっているとき、それらが作る錯角と同位角は等しく、内角の和は二直角に等しい。
作成:2006-07-18
更新:2011-03-10

命題I-29

Ἡ εἰς τὰς παραλλήλους εὐθείας εὐθεῖα ἐμπίπτουσα τάς τε ἐναλλὰξ γωνίας ἴσας ἀλλήλαις ποιεῖ καὶ τὴν ἐκτὸς τῇ ἐντὸς καὶ ἀπεναντίον ἴσην καὶ τὰς ἐντὸς καὶ ἐπὶ τὰ αὐτὰ μέρη δυσὶν ὀρθαῖς ἴσας.
 一つの直線が平行な二つの直線と交わっているとき、それらが作る錯角と同位角は等しく、内角の和は二直角に等しい。
 直線EFが平行な二直線ABとCDと交わっているとする。このとき、錯角AGHとGHDが等しく、同位角EGBとGHDが等しく、内角BGHとGHDの和が二直角であると主張する。
 AGHがGHDと等しくない、例えばAGHの方が大きいと仮定しよう。BGHを両方に加えると、AGHとBGHの和はBGHとGHDの和より大きい。ここで、AGHとBGHの和は二直角であるから[命題I-13]、BGHとGHDの和は二直角より小さくなるが、これは二つの直線ABとCDを延ばしていくといつかは交わることを意味する[公準P-5]。これは平行という仮定に反する[定義I-23]。よって、AGHがGHDと等しくないということはない。すなわち、AGHはGHDと等しい。AGHはEGBに等しいから[命題I-15]、EGBはGHDに等しい。両方にBGHを加えると、EGBとBGHの和はBGHとGHDの和に等しい。EGBとBGHの和は二直角に等しいから[命題I-13]、BGHとGHDの和も二直角に等しい。
 ゆえに、一つの直線が平行な二つの直線と交わっているとき、それらが作る錯角と同位角は等しく、内角の和は二直角に等しい。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888