命題I-5
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題I-5 二等辺三角形の底辺上の二つの角は互いに等しい、そして、等辺を延長してできる底辺下の二つの角も互いに等しい。
作成:2006-07-14
更新:2011-03-10

命題I-5

Τῶν ἰσοσκελῶν τριγώνων αἱ πρὸς τῇ βάσει γωνίαι ἴσαι ἀλλήλαις εἰσίν, καὶ προσεκβληθεισῶν τῶν ἴσων εὐθειῶν αἱ ὑπὸ τὴν βάσιν γωνίαι ἴσαι ἀλλήλαις ἔσονται.
 二等辺三角形の底辺上の二つの角は互いに等しい、そして、等辺を延長してできる底辺下の二つの角も互いに等しい。
 ABCを辺ABと辺ACが等しい二等辺三角形とし、BDとCEをABとACをそれぞれ延長した直線とする[公準P-2]。このとき、角ABCとACB、角CBDとBCEが等しいと主張する。
 点FをBD上にとり、AGをAEからAF分切り取ったとする[命題I-3]。そして、直線FCとGBを描く[公準P-1]。
 AFとAG、ABとACは等しいから、FA、ACはそれぞれGA、ABと等しく、その挟む角FAGを共有するから、底辺FCと底辺GBは等しく、三角形AFCと三角形AGBは等しい。さらに等辺に対する残りの角もそれぞれ等しい[命題I-4]。すなわち、ACFとABG、AFCとAGBは等しい。AFとAGは等しいから、そこから相等しいABとACを引いた差のBFとCGは等しい[公理A-3]。FCとGBは等しいから、BF、FCとCG、GBがそれぞれ等しく、角BFCとCGBが等しく、底辺BCが共有されている。したがって、三角形BFCと三角形CGBは等しく、等しい二辺に対する残りの角もそれぞれ等しい[命題I-4]。よって、FBCとGCB、BCFとCBGは等しい。角ABGと角ACFは等しいが、これからCBGとBCFを引いた残りのABCとACBは等しい[公理A-3]。これらは三角形ABCの底辺上にある。またFBCとGCBも等しく、これらは底辺下にある。
 ゆえに、二等辺三角形の底辺上の二つの角は互いに等しい、そして、等辺を延長してできる底辺下の二つの角も互いに等しい。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888