命題VI-20
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題VI-20 相似な多角形は全体に比例する等しい数の相似な三角形に分割され、一方の多角形は他の多角形に対して、対応する辺の比の二乗比をもつ。
作成:2006-12-30
更新:2011-03-10

命題VI-20

Τὰ ὅμοια πολύγωνα εἴς τε ὅμοια τρίγωνα διαιρεῖται καὶ εἰς ἴσα τὸ πλῆθος καὶ ὁμόλογα τοῖς ὅλοις, καὶ τὸ πολύγωνον πρὸς τὸ πολύγωνον διπλασίονα λόγον ἔχει ἤπερ ἡ ὁμόλογος πλευρὰ πρὸς τὴν ὁμόλογον πλευράν.
 相似な多角形は全体に比例する等しい数の相似な三角形に分割され、一方の多角形は他の多角形に対して、対応する辺の比の二乗比をもつ。
 ABCDEとFGHKLを相似な多角形とし、ABがFGに対応しているとする。このとき、多角形ABCDEとFGHKLは全体に比例する等しい数の相似な三角形に分割され、多角形ABCDEは多角形FGHKLに対してAB対FGに関する二乗比をもつと主張する。
 BE、EC、GL、LHを結ぶ。
 多角形ABCDEは多角形FGHKLに相似であるから、角BAEは角GFLに等しく、BA対AEはGF対FLに等しい[定義DVI-1]。三角形ABEとFGLは等しい角をもち、それを挟む辺どうしが比例するから、三角形ABEとFGLは等角であり、対応する辺に挟まれる角は等しい[命題VI-6]。よって、それらは相似であり[命題VI-4, 定義DVI-1]、角ABEは角FGLに等しい。二つの多角形が相似であることから全体の角ABCは全体の角FGHに等しいから、残りの角EBCもLGHに等しい。三角形ABEとFGLが相似であることから、EB対BAはLG対GFに等しく、それらの等位比EB対BCはLG対GHに等しい[命題V-22]。等しい角EBCとLGHを挟む辺どうしが等しいから、三角形EBCは三角形LGHに等角である[命題VI-6]。よって、三角形EBCは三角形LGHに相似である[命題VI-4, 定義DVI-1]。同じ理由で三角形ECDは三角形LHKに相似である。したがって、多角形ABCDEとFGHKLは等しい数の相似な三角形に分割される。
 さらに、これらの三角形は全体に比例すると主張する。言い換えれば、三角形ABE、EBC、ECDはFGL、LGH、LHKにそれぞれ比例する。また、多角形ABCDEは多角形FGHKLに対して、対応する辺の比、AB対FGに関する二乗比をもつと主張する。
 ACとFHを結ぶ。角ABCはFGHに等しく、AB対BCはFG対GHに等しいから、三角形ABCは三角形FGHに等角である[命題VI-6]。よって、角BACはGFHに、角BCAはGHFに等しい。角BAMはGFNに等しく、角ABMはFGNに等しいから、残りの角AMBは残りの角FNGに等しい[命題I-32]。よって、三角形ABMは三角形FGNに等角である。同じようにして、三角形BMCが三角形GNHに等角であることを示すことができるから、AM対MBはFN対NGに等しく、BM対MCはGN対NHに等しい[命題VI-4]。したがって、等位比AM対MCはFN対NHに等しい。ここで、三角形の面積は底辺に比例するから[命題DVI-1]、AM対MCは三角形ABM対MBCとAME対EMCに等しく、前項の一つ対後項の一つは前項の和対後項の和に等しいから[命題V-12]、三角形AMB対BMCはABE対CBEに等しい。AMB対BMCはAM対MCに等しいから、三角形ABE対CBEにも等しい。同じ理由により、FN対NHは三角形FGL対GLHに等しい。AM対MCはFN対NHに等しいから、三角形ABE対BECは三角形FGL対GLHに等しい。交代比をとると、三角形ABE対FGLは三角形BEC対GLHに等しい[命題V-16]。同じようにして、BDとGKを結び、三角形BEC対LGHが三角形ECD対LHKに等しいことを示すことができる。三角形ABE対FGL、三角形EBC対LGH、三角形ECD対LHKは等しいから、前項の一つ対後項の一つが前項の和対後項の和に等しいことから[命題V-12]、三角形ABE対FGLは多角形ABCDE対FGHKLに等しい。ここで、三角形ABEはFGLに対して、対応する辺に関する二乗比をもつことから[命題VI-19]、多角形ABCDEは多角形FGHKLに対して、対応する辺の比AB対FGに関する二乗比をもつ。
 ゆえに、相似な多角形は全体に比例する等しい数の相似な三角形に分割され、一方の多角形は他の多角形に対して、対応する辺の比の二乗比をもつ。

 同じようにして、四辺形についても対応する辺に関する二乗比をもつことを示すことができる。これは三角形についてはすでに示されていたことである。ゆえに、一般に相似な直線図形は互いに対応する辺に関する二乗比をもつ。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888