命題VI-19
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題VI-19 相似な三角形の面積は対応する辺の比の二乗比をもつ。
作成:2006-12-28
更新:2011-03-10

命題VI-19

Τὰ ὅμοια τρίγωνα πρὸς ἄλληλα ἐν διπλασίονι λόγῳ ἐστὶ τῶν ὁμολόγων πλευρῶν.
 相似な三角形の面積は対応する辺の比の二乗比をもつ。
 ABCとDEFが相似な三角形であり、角Bと角Eが等しく、AB対BCがDE対EFに等しく、BCがEFに対応しているとする。このとき、三角形ABCの面積は三角形DEFの面積に対して、BC対EFの二乗比をもつと主張する。
 BCとEFに比例する第三の直線をBGとする。すなわち、BC対EFはEF対BGに等しいとする[命題VI-11]。AGを結ぶ。
 AB対BCがDE対EFに等しいから、その交代比AB対DEはBC対EFに等しい[命題V-16]。ここで、BC対EFはEF対BGに等しいから、AB対DEはEF対BGに等しい。よって、三角形ABGと三角形DEFにおいて、等しい角を挟む辺どうしが反比例している。二つの三角形において、等しい角を挟む辺どうしが反比例すれば、それらは等積であるから[命題VI-15]、三角形ABGは三角形DEFに等積である。BC対EFはEF対BGに等しく、三つの直線が比例しているとき、一項は三項に対して二項に関する二乗比をもつということから[定義DV-9]、BCはBGに対してBC対EFに関する二乗比をもつ。CB対BGは三角形ABC対三角形ABGに等しいから[命題VI-1]、三角形ABCも三角形ABGに対して、BC対EFに関する二乗比をもつ。そして三角形ABGは三角形DEFに等積であるから、三角形ABCも三角形DEFに対して、BC対EFに関する二乗比をもつ。
 ゆえに、相似な三角形の面積は対応する辺の比の二乗比をもつ。

 これらのことから、三つの直線が比例しているとき、一項対三項は、一項の直線上に描かれた図形対二項の直線上に描かれた相似で、相似に置かれた図形に等しいことは明らかである。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888