命題IV-12
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題IV-12 与えられた円に等辺で等角な五角形を外接させること。
作成:2006-09-17
更新:2011-03-10

命題IV-12

Περὶ τὸν δοθέντα κύκλον πεντάγωνον ἰσόπλευρόν τε καὶ ἰσογώνιον περιγράψαι.
 与えられた円に等辺で等角な五角形を外接させること。
 ABCDEを与えられた円とする。円ABCDEに等辺で等角な五角形を外接させることが求められている。
 A、B、C、D、Eを円ABCDEに等辺で等角な五角形を内接させたときの角点と考え[命題IV-11]、GH、HK、KL、LM、MGをA、B、C、D、Eで円に接する直線として引く、Fを円ABCDEの中心とし[命題III-1]、FB、FK、FC、FL、FDを結ぶ。
 直線KLはCで円ABCDEに接し、FCは接点Cと中心Fを結んでいるから、FCはKLに垂直である[命題III-18]。したがって、点Cにおける角は直角であり、同じ理由で、点BとCにおける角も直角である。角FCKは直角であるから、FK上の正方形はFC上の正方形のCK上の正方形の和に等しい[命題I-47]。同じ理由で、FK上の正方形はFB上の正方形のBK上の正方形の和に等しい。よって、FC上の正方形のCK上の正方形の和とFB上の正方形のBK上の正方形の和は等しいが、FCとFBが等しいことから、CK上の正方形とBK上の正方形が等しく、CKはBKに等しい。FBがFCに等しく、FKは共通で、底辺BKが底辺CKに等しいことから、角BFKとKFCは等しく[命題I-8]、角BKFはFKCに等しい[命題I-8]。したがって、BFCはKFCの二倍で、BKCはFKCの二倍である。同じ理由で、CFDはCFLの二倍で、DLCはFLCの二倍である。弧BCは弧CDに等しいから、角BFCは角CFDに等しい[命題III-27]。BFCはKFCの二倍で、CFDはLFCの二倍であるから、KFCはLFCに等しい。角FCKはFCLに等しいから、三角形FKCとFLCにおいて二つの角と共通の辺FCが等しいから、残りの辺と残りの角もそれぞれ等しい[命題I-26]。よって、KCとCLは等しく、角FKCとFLCは等しい。KCはLCに等しいから、KLはKCの二倍である。同じ理由で、HKがBKの二倍であることを示すことができる。そしてBKはKCに等しいから、HKはKLに等しい。同じようにHG、GM、MLの各々がHK、KLの各々と等しいことを示すことができる。したがって、五角形GHKLMは等辺である。
 さらに等角であると主張する。なぜならば、角FKCはFLCに等しく、HKLはFKCの二倍で、KLMはFLCの二倍である。よって、HKLはKLMに等しい。同じようにKHG、HGM、GMLの各々がHKLとKLMの各々に等しいことを 示すことができるから、五つの角GHK、HKL、KLM、LMG、MGHは互いに等しい。すなわち、五角形GHKLMは等角である。
 ゆえに、五角形GHKLMは等辺で等角であり、円ABCDEに外接している。これが求められていたことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888