命題IV-11
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題IV-11 与えられた円に等辺で等角な五角形を内接させること。
作成:2006-09-17
更新:2011-03-10

命題IV-11

Εἰς τὸν δοθέντα κύκλον πεντάγωνον ἰσόπλευρόν τε καὶ ἰσογώνιον ἐγγράψαι.
 与えられた円に等辺で等角な五角形を内接させること。
 ABCDEを与えられた円とする。円ABCDEに等辺で等角な五角形を内接させることが求められている。
 点GとHにおける角がそれぞれ点Fにおける角の二倍であるような二等辺三角形FGHを描く[命題IV-10]。三角形ACDを、FGHに等角で、CADが角Fに、ACDとCDAが角GとHにそれぞれ等しくなるように円ABCDEに内接させる[命題IV-2]。ACDとCDAはそれぞれCADの二倍である。ACDとCDAを直線CEとDBによりそれぞれ二等分する[命題I-9]。AB、BC、DE、EAを結ぶ。
 ACDとCDAはそれぞれCADの二倍で、直線CEとDBによりそれぞれ二等分されているから、五つの角DAC、ACE、ECD、CDB、BADは互いに等しい。等しい円周角は等しい弧の上に立つから[命題III-26]、弦AB、BC、CD、DE、EAは互いに等しい[命題III-29]。したがって、五角形ABCDEは等辺である。さらにこれは等角であると主張する。弧ABは弧DEに等しいから、両方に弧BCDを加えると、弧ABCDは弧EDCBに等しい。角AEDは弧ABCDの上に立ち、角BAEは弧EDCBの上に立つ。したがって、角BAEは角AEDに等しい[命題III-27]。同じ理由で、角ABC、BCD、CDEの各々は角BAEと角AEDの各々に等しい。よって、五角形ABCDEは等角である。
 ゆえに、与えられた円に等辺で等角な五角形を内接させることができた。これが求められていたことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888