命題I-8
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題I-8 二つの三角形において、二つの対応する辺と底辺どうしがそれぞれ等しければ、等しい辺に挟まれる角どうしはそれぞれ等しい。
作成:2006-07-15
更新:2011-03-10

命題I-8

Ἐὰν δύο τρίγωνα τὰς δύο πλευρὰς [ταῖς] δύο πλευραῖς ἴσας ἔχῃ ἑκατέραν ἑκατέρα, ἔχῃ δὲ καὶ τὴν βάσιν τῇ βάσει ἴσην, καὶ τὴν γωνίαν τῇ γωνίᾳ ἴσην ἕξει τὴν ὑπὸ τῶν ἴσων εὐθειῶν περιεχομένην.
 二つの三角形において、二つの対応する辺と底辺どうしがそれぞれ等しければ、等しい辺に挟まれる角どうしはそれぞれ等しい。
 ABCとDEFを二辺ABとACが二辺DEとDFにそれぞれ等しい三角形とする。すなわち、ABとDE、ACとDFが等しいものとする。さらに底辺BCがEFと等しいときに角BACがEDFに等しいと主張する。
 三角形ABCを三角形DEFに重ねて、点Bが点Eに、直線BCが直線EFに一致するようにする。このとき、BCとEFの長さが等しいので点Cも点Fと一致する。直線BCと直線EFが一致しているので、BAとCAはEDとDFと一致する。なぜならば、BCとEFが一致していて、ABとACがEDとDFと一致せず上図のEGとGFのようになるとすると、一つの直線の両端から、同じ側にそれぞれ長さが等しい二つの異なる直線を引いて、それらがちょうど端点で交わることになるが、これは不可能である[命題I-7]。つまり、BCとEFを重ねたときに、BAとCAがEDとDFと一致しないということはありえない。したがって、角BACと角EDFは一致し、二つの三角形は等しい。
 ゆえに、二つの三角形において、二つの対応する辺と底辺どうしがそれぞれ等しければ、等しい辺に挟まれる角どうしはそれぞれ等しい。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888