命題III-33
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-33 与えられた直線上に、与えられた直線角と等しい角を中に含む円の切片を描くこと。
作成:2006-09-12
更新:2011-03-10

命題III-33

Ἐπὶ τῆς δοθείσης εὐθείας γράψαι τμῆμα κύκλου δεχόμενον γωνίαν ἴσην τῇ δοθείσῃ γωνίᾳ εὐθυγράμμῳ.
 与えられた直線上に、与えられた直線角と等しい角を中に含む円の切片を描くこと。
 ABを与えられた直線、Cを与えられた直線角とする。AB上にCと等しい角を中に含む円の切片を描くことが求められている。
 角Cは鋭角であるか、直角であるか、鈍角であるかのいずれかである。最初に鋭角の場合を考えよう。
 最初の図において、角BADを点Aから直線AB上に角Cと等しくなるようにとる[命題I-23]。BADも鋭角である。AEをDAに垂直に引く[命題I-11]。ABをFで二等分する[命題I-10]。FGを点FからABに垂直に立てる[命題I-11]。GBを結ぶ。
 AFはFBに等しく、FGは共通であるから、二辺AF、FGは二辺BF、FGにそれぞれ等しく、角AFGはBFGに等しい。したがって、底辺AGは底辺BGに等しい[命題I-4]。Gを中心、GAを半径とする円を描くとBを通る。これをABEと書くことにして、EBを結ぶ。ADは直径AEの端点から垂直に引かれているから、ADは円ABEに接する[命題III-16系]。直線ADが円ABEに接し、接点Aから円の内部に弦ABが引かれているから、その弦が接線となす角DABは対向する切片AEB内の角に等しい[命題III-32]。DABはCに等しいから、角CはAEBに等しい。
 よって、円の切片AEBはその中に与えられた角Cに等しい角AEBを含み、与えられた直線AB上に描かれている。
 次にCが直角であるとしよう。AB上に直角Cに等しい角を含むような円の切片を描くことが求められている。二番目の図においてBADが直角Cに等しくなるようにし[命題I-23]、ABをFで二等分する[命題I-10]。Fを中心として円AEBを描くと、FAとFBは半径になる。
 ADは接点Aから引かれ直径に垂直であるから、ADは円ABEに接する[命題III-16系]。半円内の角は直角であるから[命題III-31]、角BADは切片AEB内の角に等しい。BADはCにも等しいから、切片AEB内の角はCに等しい。
 よって、円の切片AEBはその中に与えられた角Cに等しい角AEBを含み、与えられた直線AB上に描かれている。
 最後にCが鈍角であるとしよう。三番目の図において角BADを点Aから直線AB上に角Cと等しくなるようにとる[命題I-23]。AEをADに垂直に立てる[命題I-11]。ABをFで二等分する[命題I-10]。FGをABに垂直に立てる[命題I-11]。GBを結ぶ。
 AFはFBに等しく、FGは共通であるから、二辺AF、FGは二辺BF、FGにそれぞれ等しく、角AFGはBFGに等しい。したがって、底辺AGは底辺BGに等しい[命題I-4]。Gを中心、GAを半径とする円を描くとBを通る。これをAEBと書くことにする。ADは直径AEの端点から垂直に引かれているから、ADは円AEBに接する[命題III-16系]。ABは接点Aから引かれた弦であるから、接線となす角BADは対向する切片AHB内の角に等しい[命題III-32]。角BADはCに等しいから、切片AHB内の角もまたCに等しい。
 ゆえに、与えられた直線AB上に、与えられた直線角Cと等しい角を中に含む円の切片AHBを描くことができた。これが求められていたことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888