命題III-31
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-31 円において、半円内の角は直角であり、半円より大きい切片内の角は直角より小さく、半円より小さい切片内の角は直角より大きい。また、半円より大きい切片の底角は直角より大きく、半円より小さい切片の底角は直角より小さい。
作成:2006-09-11
更新:2011-03-10
更新:2011-03-10
命題III-31
Ἐν κύκλῳ ἡ μὲν ἐν τῷ ἡμικυκλίῳ γωνία ὀρθή ἐστιν, ἡ δὲ ἐν τῷ μείζονι τμήματι ἐλάττων ὀρθῆς, ἡ δὲ ἐν τῷ ἐλάττονι τμήματι μείζων ὀρθῆς: καὶ ἔτι ἡ μὲν τοῦ μείζονος τμήματος γωνία μείζων ἐστὶν ὀρθῆς, ἡ δὲ τοῦ ἐλάττονος τμήματος γωνία ἐλάττων ὀρθῆς.円において、半円内の角は直角であり、半円より大きい切片内の角は直角より小さく、半円より小さい切片内の角は直角より大きい。また、半円より大きい切片の底角は直角より大きく、半円より小さい切片の底角は直角より小さい。
ABCDを円、BCをその直径、Eをその中心とする。BA、AC、AD、DCを結ぶ。このとき、半円BAC内の角BACは直角であり、半円より大きい切片ABC内の角ABCは直角より小さく、半円より小さい切片ABC内の角ABCは直角より大きいと主張する。
AEを結び、BAをFまで延長する。
BEはEAに等しいから、角ABEはBAEに等しい[命題I-5]。CEはEAに等しいから、角ACEはCAEに等しい[命題I-5]。したがって、BAC全体はABCとACBの和に等しい。三角形ABCの外角FACもまたABCとACBの和に等しいから[命題I-32]、角BACはFACに等しく、それらは直角である[定義DI-10]。よって、半円BAC内の角BACは直角である。
三角形ABCの内角ABCとBACの和は二直角より小さく[命題I-17]、BACは直角であるから、角ABCは直角より小さく、それは半円より大きい切片ABC内の角である。
ABCDは円に内接する四辺形であり、円の内接四辺形において対角の和は二直角に等しいから[命題III-22]、角ABCとADCの和は二直角に等しく、角ABCは直角より小さいから、残りの角ADCは直角より大きい。それは半円より小さい切片ADC内の角である。
次に、半円より大きい切片の底角、弧ABCと弦ACに挟まれる角は直角より大きく、半円より小さい切片の底角、弧ADCと弦ACに挟まれる角は直角より小さいと主張する。これは明白である。なぜならば、二直線BAとACに挟まれる角は直角であるから、弧ABCと弦ACに挟まれる角は直角より大きく、二直線ACとAFに挟まれる角は直角であるから、弧ADCと弦CAに挟まれる角は直角より小さい。
ゆえに、円において、半円内の角は直角であり、半円より大きい切片内の角は直角より小さく、半円より小さい切片内の角は直角より大きい。また、半円より大きい切片の底角は直角より大きく、半円より小さい切片の底角は直角より小さい。これが証明すべきことであった。
Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888