命題III-32
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-32 直線が円に接し、接点から円の内部に弦が引かれているとき、その弦が接線となす角は対向する切片内の角に等しい。
作成:2006-09-12
更新:2011-03-10

命題III-32

Ἐὰν κύκλου ἐφάπτηταί τις εὐθεῖα, ἀπὸ δὲ τῆς ἁφῆς εἰς τὸν κύκλον διαχθῇ τις εὐθεῖα τέμνουσα τὸν κύκλον, ἃς ποιεῖ γωνίας πρὸς τῇ ἐφαπτομένῃ, ἴσαι ἔσονται ταῖς ἐν τοῖς ἐναλλὰξ τοῦ κύκλου τμήμασι γωνίαις.
 直線が円に接し、接点から円の内部に弦が引かれているとき、その弦が接線となす角は対向する切片内の角に等しい。
 直線EFが円ABCDに点Bで接し、弦BDが点Bから円ABCDの内部へ引かれているとする。このとき、BDがEFとなす角は対向する切片内の角に等しいと主張する。すなわち、角FBDは切片BAD内の角に等しく、角EBDは切片DCB内の角に等しい。
 BAをBからEFに垂直に立てる[命題I-11]。点Cを弧BD上の任意の点とする。AD、DC、CBを結ぶ。
 直線EFは点Bで円ABCDに接しているから、BAは接点から接線に対して垂直であり、円ABCDの中心はBA上にある[命題III-19]。したがって、BAは円ABCDの直径であり、半円内の角ADBは直角であり、[命題III-31]、三角形ADBの残りの角BADとABDの和は直角である[命題I-32]。ABFも直角であるから、ABFはBADとABDの和に等しい。両方からABDを取り去った残りの角DBFは対向する切片内の角BADに等しい。ABCDは円に内接する四辺形であるから、その対角との和は二直角に等しい[命題III-22]。DBFとDBEの和も二直角に等しい[命題I-13]。したがって、DBFとDBEの和はBADとBCDの和に等しく、BADはDBFに等しいから、残りの角DBEは対向する切片DCB内の角DCBに等しい。
 ゆえに、直線が円に接し、接点から円の内部に弦が引かれているとき、その弦が接線となす角は対向する切片内の角に等しい。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888