命題VI-7
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題VI-7 二つの三角形が等しい角をもち、別の角を挟む辺どうしが比例し、残りの角がともに直角より小さいか、直角より小さくないとき、それらは等角であり、対応する辺に挟まれる角は等しい。
作成:2006-12-09
更新:2011-03-10
更新:2011-03-10
命題VI-7
Ἐὰν δύο τρίγωνα μίαν γωνίαν μιᾷ γωνίᾳ ἴσην ἔχῃ, περὶ δὲ ἄλλας γωνίας τὰς πλευρὰς ἀνάλογον, τῶν δὲ λοιπῶν ἑκατέραν ἅμα ἤτοι ἐλάσσονα ἢ μὴ ἐλάσσονα ὀρθῆς, ἰσογώνια ἔσται τὰ τρίγωνα καὶ ἴσας ἕξει τὰς γωνίας, περὶ ἃς ἀνάλογόν εἰσιν αἱ πλευραί.二つの三角形が等しい角をもち、別の角を挟む辺どうしが比例し、残りの角がともに直角より小さいか、直角より小さくないとき、それらは等角であり、対応する辺に挟まれる角は等しい。
二つの三角形ABCとDEFは等しい角BACとEDFをもち、別の角ABCとDEFを挟む辺どうしが比例する、すなわち、AB対BCはDE対EFに等しいとし、まず最初に残りの角CとFがともに直角より小さいとき、三角形ABCと三角形DEFは等角であり、角ABCとDEFは等しく、残りの角Cも残りの角Fに等しいと主張する。
もし角ABCとDEFが等しくないとすれば、どちらかが大きい。ABCが大きいとする。角ABGを角DEFと等しいとし、直線AB上の点Bから作図する[命題I-23]。
角Aは角Dに、角ABGはDEFに等しいから、残りの角AGBは残りの角DFEに等しい[命題I-32]。よって、三角形ABGはDEFは等角であり、AB対BGはDE対EFに等しい[命題VI-4]。ここで、仮定によりDE対EFはAB対BCに等しいから、ABはBCとBGに対して同じ比をもつ[命題V-11]。よって、BCはBGに等しく[命題V-9]、角Cは角BGCに等しい[命題I-5]。角Cは直角より小さいという仮定から角BGCも直角より小さく、その隣接角AGBは直角より大きい[命題I-13]。ここで、角AGBは角Fと等しいから、角Fも直角より大きいことになり矛盾である。したがって、角ABCとDEFが等しくないことはない。すなわち、等しい。角Aと角Dは等しいから、残りの角Cと残りの角Fは等しく[命題I-32]、三角形ABCとDEFは等角である。
次に残りの角CとFがともに直角より小さくないとき、三角形ABCと三角形DEFは等角であると主張する。
同じ構成によって、BCとBGが等しいことが同様に示されるから、角Cは角BGCに等しい。角Cは直角より小さくないから、角BGCも直角より小さくない。よって、三角形BGCにおいて、二つの角が直角より小さくないことになって矛盾である[命題I-17]。したがって、角ABCとDEFが等しくないことはない。すなわち、等しい。角Aと角Dは等しいから、残りの角Cと残りの角Fは等しく[命題I-32]、三角形ABCとDEFは等角である。
ゆえに、二つの三角形が等しい角をもち、別の角を挟む辺どうしが比例し、残りの角がともに直角より小さいか、直角より小さくないとき、それらは等角であり、対応する辺に挟まれる角は等しい。これが証明すべきことであった。
Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888