命題VI-5
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題VI-5 二つの三角形の辺どうしが比例するとき、それらは等角であり、対応する辺に挟まれる角は等しい。
作成:2006-12-02
更新:2011-03-10

命題VI-5

Ἐὰν δύο τρίγωνα τὰς πλευρὰς ἀνάλογον ἔχῃ, ἰσογώνια ἔσται τὰ τρίγωνα καὶ ἴσας ἕξει τὰς γωνίας, ὑφ᾽ ἃς αἱ ὁμόλογοι πλευραὶ ὑποτείνουσιν.
 二つの三角形の辺どうしが比例するとき、それらは等角であり、対応する辺に挟まれる角は等しい。
 二つの三角形ABCとDEFは比例する辺をもつ、すなわち、AB対BCはDE対EFに等しく、BC対CAはEF対FDに等しく、さらにBA対ACはED対DFに等しいとする。このとき、三角形ABCと三角形DEFは等角であり、対応する辺に挟まれる角は等しい、すなわち、角ABCはDEFに等しく、角BCAはEFDに等しく、さらに角BACはEDFに等しいと主張する。
 直線EF上の点EとFから角FEGがABCに等しく、角EFGがACBに等しくなるように直線角を作図する[命題I-23]。このとき、残りの角Aは残りの角Gに等しい[命題I-32]。
 三角形ABCはEGFと等角であるから、三角形ABCとEGFにおいて等しい角を挟む辺どうしは比例し、それらの辺を挟む角が対応している[命題VI-4]。よって、AB対BCはGE対EFに等しい。ここで、仮定によりAB対BCはDE対EFに等しいから、DE対EFはGE対EFに等しい[命題V-11]。DEとGEはEFに対して同じ比をもつから、DEはGEに等しい[命題V-9]。同じ理由により、DFはGFに等しい。DEはEGに等しく、EFは共通であるから、二辺DE、EFはGE、EFにそれぞれ等しい。底辺DFは底辺FGに等しいから、角DEFはGEFに等しく[命題I-8]、三角形DEFとGEFは等しく、等しい辺に挟まれる残りの角も等しい[命題I-4]。よって、角DFEはGFEに等しく、角EDFはEGFに等しい。角FEDはGEFに等しく、角GEFはABCに等しいから、角ABCはDEFに等しい。同じ理由により、角ACBはDFEに等しく、さらに角Aと角Dは等しい。したがって、三角形ABCは三角形DEFに等しい。
 ゆえに、二つの三角形の辺どうしが比例するとき、それらは等角であり、対応する辺に挟まれる角は等しい。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888