命題VI-1
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題VI-1 高さが同じ三角形と平行四辺形はその底辺に比例する。
作成:2006-11-23
更新:2011-03-10

命題VI-1

Τὰ τρίγωνα καὶ τὰ παραλληλόγραμμα, τὰ ὑπὸ τὸ αὐτὸ ὕψος ὄντα πρὸς ἄλληλά ἐστιν ὡς αἱ βάσεις.
 高さが同じ三角形と平行四辺形はその底辺に比例する。
 三角形ABCとACD、平行四辺形ECとCFが同じ高さACをもつとする。このとき、底辺BC対CD、三角形ABC対ACD、平行四辺形EC対CFが等しいと主張する。
 直線BDを両方向へHとLまで延長し、BG、GHが底辺BCに等しく、DK、KLが底辺CDに等しいようにする。AG、AH、AK、ALを結ぶ。
 CB、BG、GHは互いに等しいから、三角形AHG、AGB、ABCも互いに等しい[命題I-38]。したがって、底辺HCを底辺BCで割った数は、三角形AHCを三角形ABCで割った数に等しい。同じ理由で底辺LCを底辺CDで割った数は、三角形ALCを三角形ACDで割った数に等しい。もし底辺HCが底辺CLに等しいならば三角形AHCは三角形ACLに等しい[命題I-38]。さらに、もし底辺HCが底辺CLより大きいならば三角形AHCは三角形ACLより大きく、より小さいならば小さい。四つの量、底辺BCとCD、三角形ABCとACDにおいて、底辺BCと三角形ABCが等倍されて底辺HCと三角形AHCとなり、底辺CDと三角形ADCが別に等倍されて底辺LCと三角形ALCとなっている。そして、底辺HCが底辺CLより大きければ、三角形AHCは三角形ALCより大きく、等しければ等しく、より小さければ小さい。よって、底辺BC対底辺CDは三角形ABC対三角形ACDに等しい[定義DV-5]。
 平行四辺形ECは三角形ABCの二倍であり、平行四辺形FCは三角形ACDの二倍である[命題I-34]。そして、二つの量の比は両方を等倍した比に等しいから[命題V-15]、三角形ABC対三角形ACDは平行四辺形EC対平行四辺形FCに等しい。底辺BC対底辺CDは三角形ABC対三角形ACDに等しく、三角形ABC対三角形ACDは平行四辺形EC対平行四辺形FCに等しいから、底辺BC対底辺CDは平行四辺形EC対平行四辺形FCに等しい[命題V-11]。
 ゆえに、高さが同じ三角形と平行四辺形はその底辺に比例する。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888