命題III-7
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-7 円の直径上の中心でない点から円周へ直線が引かれるとき、もっとも長い直線は中心を通るもので、直径の残りがもっとも短く、それ以外の直線の長さは中心を通る直線からの角度がより小さいものがより長くなる。そして、その点から円周上へ同じ長さの直線を、もっとも短い直線の両側へちょうど二つだけ引くことができる。
作成:2006-09-05
更新:2011-03-10

命題III-7

Ἐὰν κύκλου ἐπὶ τῆς διαμέτρου ληφθῇ τι σημεῖον, ὃ μή ἐστι κέντρον τοῦ κύκλου, ἀπὸ δὲ τοῦ σημείου πρὸς τὸν κύκλον προσπίπτωσιν εὐθεῖαί τινες, μεγίστη μὲν ἔσται, ἐφ᾽ ἧς τὸ κέντρον, ἐλαχίστη δὲ ἡ λοιπή, τῶν δὲ ἄλλων ἀεὶ ἡ ἔγγιον τῆς διὰ τοῦ κέντρου τῆς ἀπώτερον μείζων ἐστίν, δύο δὲ μόνον ἴσαι ἀπὸ τοῦ σημείου προσπεσοῦνται πρὸς τὸν κύκλον ἐφ᾽ ἑκάτερα τῆς ἐλαχίστης.
 円の直径上の中心でない点から円周へ直線が引かれるとき、もっとも長い直線は中心を通るもので、直径の残りがもっとも短く、それ以外の直線の長さは中心を通る直線からの角度がより小さいものがより長くなる。そして、その点から円周上へ同じ長さの直線を、もっとも短い直線の両側へちょうど二つだけ引くことができる。
 ABCDを円、ADをその直径とし、AD上に中心ではない任意の点Fをとり、Eを円の中心とする。FB、FC、FGをFから円周上への直線とするとき、FAがもっとも長く、FDがもっとも短く、FBはFCより長く、FCはFGより長いと主張する。
 BE、CE、GEを結ぶ。三角形において任意の二辺の和は残りの辺より大きいから[命題I-20]、EBとEFの和はBFより大きい。AEはBEに等しいから、BEとEFの和はAFに等しく、AFはBFより長い。BEはCEに等しく、FEは共通であるから、二辺BE、EFは二辺CE、EFにそれぞれ等しい。ここで、角BEFは角CEFよりも大きいから、底辺BFは底辺CFよりも長い[命題I-24]。同じようにCFはFGよりも長い。
 GFとFEの和はEGより大きく[命題I-20]、EGはEDに等しいから、GFとFEの和はEDよりも大きい。両方からEFを取り去ると、GFはFDよりも大きいことがわかる。したがって、FAは最長、FDは最短、そして、FBはFCより長く、FCはFGより長い。
 次に点Fから円周上へ同じ長さの直線を、FDの両側へちょうど二つ引くことができると主張する。なぜならば、角FEHを点EからEF上に角GEFと同じにとり[命題I-23]、FHを結ぶと、GEはEHに等しく、EFは共通であるから、二辺GE、EFと二辺HE、EFがそれぞれ等しく、角GEFは角HEFに等しいことから、底辺FGが底辺FHに等しいことがわかる[命題I-4]。そこで点Fから円周上へのこれ以外の直線がFGに等しくなることはないことを示せばよい。もしそうでないならば、FGと等しいFKが存在する。しかし、FHはFGに等しいから、FKはFHに等しくなるが、中心に近い方が長いことに矛盾する。したがって、GFに等しい直線は唯一つしか存在しない。
 ゆえに、円の直径上の中心でない点から円周へ直線が引かれるとき、もっとも長い直線は中心を通るもので、直径の残りがもっとも短く、それ以外の直線の長さは中心を通る直線からの角度がより小さいものがより長くなる。そして、その点から円周上へ同じ長さの直線を、もっとも短い直線の両側へちょうど二つ引くことができる。これが証明すべきことであった。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888