命題III-35
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-35 円において、二つの弦が互いに分割されるとき、一つの弦の二つの部分の積である長方形は、もう一方の二つの部分の積である長方形に等しい。
作成:2006-09-13
更新:2011-03-10

命題III-35

Ἐὰν ἐν κύκλῳ δύο εὐθεῖαι τέμνωσιν ἀλλήλας, τὸ ὑπὸ τῶν τῆς μιᾶς τμημάτων περιεχόμενον ὀρθογώνιον ἴσον ἐστὶ τῷ ὑπὸ τῶν τῆς ἑτέρας τμημάτων περιεχομένῳ ὀρθογωνίῳ.
 円において、二つの弦が互いに分割されるとき、一つの弦の二つの部分の積である長方形は、もう一方の二つの部分の積である長方形に等しい。
a⊗c = b⊗d
 円ABCDにおいて、二つの弦ACとBDが点Eで互いに分割されているとする。このとき、AEとECの積である長方形とDEとEBの積である長方形は等しいと主張する。
 実際、図の左側のようにACとBDが中心を通り、Eが円ABCDの中心であれば、AE、EC、DE、EBが等しいので、AEとECの積である長方形とDEとEBの積である長方形が等しいのは明らかである。
 そこで、図の右側のようにACとDBが中心を通らないと仮定しよう。円ABCDの中心とFとする[命題III-1]。Fから弦ACとDBにそれぞれ垂線FGとFHを下ろす[命題I-12]。FB、FC、FEを結ぶ。
 直線GFは中心を通り、中心を通らない弦ACに垂直に交わっているから、それを二等分している[命題III-3]。したがって、AGはGCに等しい。直線ACはGで半分、Eで不等分に分割されるから、AEとECの積である長方形とEG上の正方形の和は、GC上の正方形と等しい[命題II-5]。両方にGF上の正方形を加えると、AEとECの積である長方形とGE上の正方形とGF上の正方形の和は、CG上の正方形とGF上の正方形の和に等しい。そして、EG上の正方形とGF上の正方形の和はFE上の正方形に等しく[命題I-47]、CG上の正方形とGF上の正方形の和はFC上の正方形に等しいから[命題I-47]、AEとECの積である長方形とFE上の正方形の和はFC上の正方形に等しい。FCはFBに等しいから、AEとECの積である長方形とFE上の正方形の和はFB上の正方形に等しい。同じ理由で、DEとEBの積である長方形とFE上の正方形の和はFB上の正方形に等しい。したがって、AEとECの積である長方形とFE上の正方形の和は、DEとEBの積である長方形とFE上の正方形の和に等しい。両方からFE上の正方形を取り去ると、AEとECの積である長方形はDEとEBの積である長方形に等しいことがわかる。
 ゆえに、円において、二つの弦が互いに分割されるとき、一つの弦の二つの部分の積である長方形は、もう一方の二つの部分の積である長方形に等しい。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888