命題III-1
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-1 与えられた円の中心を作図すること。
作成:2006-08-27
更新:2011-03-10

命題III-1

Τοῦ δοθέντος κύκλου τὸ κέντρον εὑρεῖν.
 与えられた円の中心を作図すること。
 ABCを与えられた円とするとき、円ABCの中心を作図することが求められている。
 円ABCを通る任意の弦ABを引き、ABの中点をDとする[命題I-9]。DCをAB上Dから立つ垂線とする[命題I-11]。CDをEまで延長し、CEの中点をFとするとき[命題I-9]、Fが円ABCの中心であると主張する。
 Fが中心でないと仮定しよう。Gを円の中心であるとし、GA、GD、GBを結ぶ。二辺AD、DGはBD、DGにそれぞれ等しく、半径が等しいことから底辺GAはGBに等しい。したがって、角ADGとGDBは等しく[命題I-8]、直線の上に立つ直線において隣接角が互いに等しいならば、それは直角であるから[定義DI-10]、GDBは直角である。FDBも直角であるから、大きい角が小さい角に等しいこととなり矛盾である。よって、Gは円ABCの中心ではなく、同じようにF以外の点が円の中心になることはない。
 ゆえに、点Fが円ABCの中心である。

 このことから次のことがわかる。すなわち、円内の弦が他の弦によって垂直に二等分されるならば、円の中心は後者の上にある。これが求められていたことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888