命題III-25
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-25 円の切片が与えられたとき、それを切片として含む円を完成させること。
作成:2006-09-11
更新:2011-03-10
更新:2011-03-10
命題III-25
Κύκλου τμήματος δοθέντος προσαναγράψαι τὸν κύκλον, οὗπέρ ἐστι τμῆμα.円の切片が与えられたとき、それを切片として含む円を完成させること。
ABCを円の切片とするとき、それを切片として含む円を完成させることが求められている。
ACがDで二等分されるとし[命題I-10]、DからACに垂直にDBを引く。ABを結ぶ。角ABDはBADより大きいか、等しいか、小さいかのいずれかである。
まず最初に、角ABDがBADより大きい場合を考えよう。BAEをAからBA上ABDと等しくなるようにとる[命題I-23]。DBをEまで延長し、ECを結ぶ。ABEはBAEに等しいから、EBはEAに等しい[命題I-6]。ADはDCに等しく、DEは共通であるから、二辺AD、DEは二辺CD、DEにそれぞれ等しく、角ADEと角CDEはともに直角なので等しい。したがって、底辺AEは底辺CEに等しい[命題I-4]。AEはBEに等しいから、BEはCEとも等しく、三直線AE、EB、ECは互いに等しい。よって、Eを中心とし、半径がAE、EB、ECのいずれかの円を描けば、それは切片を通り、円が完成される[命題III-9]。これにより、与えられた切片を含む円を完成させることができた。この場合、中心Eが外部にあるので切片ABCは半円より小さい。
同じように角ABDがBADに等しいときは、ADはBDに等しく[命題I-6]、DCにも等しいから、三直線DA、DB、DCは互いに等しく、点Dは完成された円の中心となる。またABCはちょうど半円である。
ABDがBADより小さいときは、角BAEをAから直線BA上角ABDと等しくなるようにとる[命題I-23]。そうすると中心はDB上にあり、切片ABCに含まれる。この場合、切片ABCは半円よりも大きい。
ゆえに、円の切片が与えられたとき、それを切片として含む円を完成させることができた。これが求められていたことであった。
Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888