命題III-9
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-9 円内の点から円周上へ引かれる二つより多い直線が等しいとき、その点は中心である。
作成:2006-09-06
更新:2011-03-10

命題III-9

Ἐὰν κύκλου ληφθῇ τι σημεῖον ἐντός, ἀπὸ δὲ τοῦ σημείου πρὸς τὸν κύκλον προσπίπτωσι πλείους ἢ δύο ἴσαι εὐθεῖαι, τὸ ληφθὲν σημεῖον κέντρον ἐστὶ τοῦ κύκλου.
 円内の点から円周上へ引かれる二つより多い直線が等しいとき、その点は中心である。
 ABCを円、Dをその内部の点とし、点Dから円周上へ引かれる二つより多い直線DA、DB、DCが等しいならば、点Dは円ABCの中心であると主張する。
 ABとBCを結び、それらを二等分する点をそれぞれEとFとする[命題I-10]。EDとFDを結び、それらをG、K、H、Lまで延長する。
 AEはEBに等しく、EDは共通であるから、二辺AE、EDは二辺BE、EDがそれぞれ等しく、底辺DAと底辺DBも等しい。したがって、角AEDは角BEDに等しく[命題I-8]、各々は直角である[定義DI-10]。よって、GKはABを垂直に二等分する。円内の弦が他の弦によって垂直に二等分されるならば、円の中心は後者の上にあるから[命題III-1系]、この円の中心はGK上にある。同じ理由で円ABCの中心はHL上にある。直線GKとHLは点D以外に交点を持たないから、点Dは円ABCの中心である。
 ゆえに、円内の点から円周上へ引かれる二つより多い直線が等しいとき、その点は中心である。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888