命題III-15
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-15 円において、直径はもっとも長い弦であり、中心に近い弦ほど長い。
作成:2006-09-07
更新:2011-03-10

命題III-15

Ἐν κύκλῳ μεγίστη μὲν ἡ διάμετρος τῶν δὲ ἄλλων ἀεὶ ἡ ἔγγιον τοῦ κέντρου τῆς ἀπώτερον μείζων ἐστίν.
 円において、直径はもっとも長い弦であり、中心に近い弦ほど長い。
 ABCDを円、ADをその直径、Eをその中心とする。弦BCが弦FGより直径ADに近いとき、ADがもっとも長く、BCはFGより長いと主張する。
 EHとEKをそれぞれBCとFGに垂直に下ろす[命題I-12]。BCはFGより中心に近いので、EKはEHより大きい[定義DIII-5]。ELをEHと同じ長さにとる[命題I-3]。LMをLからEKに垂直に引く[命題I-11]。これをNまで延長する。ME、EN、FE、EGを結ぶ。
 EHはELに等しいから、BCはMNに等しい[命題III-14]。AEはEMに等しく、EDはENに等しいから、ADはMEとENの和に等しい。MEとENの和はMNより大きく[命題I-20]、MNはBCに等しいから、ADはBCより大きい。二辺ME、ENはそれぞれ二辺FE、EGに等しいから、角MENは角FEGより大きく、底辺MNは底辺FGより大きい[命題I-24]。MNはBCと等しかったから、BCはFGより大きいことになる。したがって、直径ADはもっとも長く、BCはFGより長い。
 ゆえに、円において、直径はもっとも長い弦であり、中心に近い弦ほど長い。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888