命題III-14
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-14 円において、等しい弦は中心から等距離にあり、中心から等距離にある弦は等しい。
作成:2006-09-06
更新:2011-03-10

命題III-14

Ἐν κύκλῳ αἱ ἴσαι εὐθεῖαι ἴσον ἀπέχουσιν ἀπὸ τοῦ κέντρου, καὶ αἱ ἴσον ἀπέχουσαι ἀπὸ τοῦ κέντρου ἴσαι ἀλλήλαις εἰσίν.
 円において、等しい弦は中心から等距離にあり、中心から等距離にある弦は等しい。
 ABDCを円とし、ABとCDをその円内の等しい弦とするとき、ABとCDは中心から等距離にあると主張する。
 円ABDCの中心をEとする[命題III-1]。EからABとCDに下ろした垂線をそれぞれEFとEGとする[命題I-12]。AEとECを結ぶ。
 直線EFは中心を通り、中心を通らない弦ABと直角に交わっているので、それを二等分している[命題III-3]。したがって、AFはFBに等しく、ABはAFの二倍である。同じ理由でCDはCGの二倍である。ABはCDに等しいから、AFはCGに等しい。AEはECに等しいから、AE上の正方形はEC上の正方形に等しい。ここで、角Fが直角であることから、AF上の正方形とEF上の正方形の和はAE上の正方形に等しく[命題I-47]、角Gが直角であることから、EG上の正方形とGC上の正方形の和はEC上の正方形に等しい[命題I-47]。したがって、AF上の正方形とFE上の正方形の和はCG上の正方形とGE上の正方形の和に等しく、ここでAFはCGに等しいから、FE上の正方形はEG上の正方形に等しくなる。よって、EFはEGに等しい。円内の弦どうしが中心から等距離にあるとは、中心からそれらに下ろす垂線が等しいことであったから[定義DIII-4]、ABとCDは中心から等距離にある。
 次にABとCDが中心から等距離にあるとしよう。すなわち、EFがEGに等しいと仮定する。このとき、ABはCDに等しいと主張する。
 上と同様に、ABがAFの二倍であり、CDがCGの二倍であることを示すことができる。AEはCEに等しいから、AE上の正方形はEC上の正方形に等しい。ここで、EF上の正方形とFA上の正方形の和はAE上の正方形に等しく[命題I-47]、EG上の正方形とGC上の正方形の和はCE上の正方形に等しい[命題I-47]。したがって、EF上の正方形とFA上の正方形の和はEG上の正方形とGC上の正方形の和に等しい。ここで、EFはEGに等しいから、EF上の正方形はEG上の正方形に等しく、両方から取り去るとAF上の正方形はCG上の正方形に等しく、AFはCGに等しい。ABがAFの二倍であり、CDがCGの二倍であるから、ABはCDに等しい。
 ゆえに、円において、等しい弦は中心から等距離にあり、中心から等距離にある弦は等しい。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888