命題I-12
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題I-12 与えられた点から与えられた無限直線上に垂直な直線を下ろすこと。
作成:2006-07-15
更新:2011-03-10

命題I-12

Ἐπὶ τὴν δοθεῖσαν εὐθεῖαν ἄπειρον ἀπὸ τοῦ δοθέντος σημείου, ὃ μή ἐστιν ἐπ᾽ αὐτῆς, κάθετον εὐθεῖαν γραμμὴν ἀγαγεῖν.
 与えられた点から与えられた無限直線上に垂直な直線を下ろすこと。
 ABを与えられた無限直線とし、AB上にはない点Cが与えられたとする。CからABへ垂線を下ろすことが求められている。
 DをABに関してCと反対側にある点とする。Cを中心とし、CDを半径とする円EFGを描き[公準P-3]、この円によってABから切り取られるEGの中点をHとする[命題I-10]。ここでCG、CH、CEを結ぶ。このときCHがAB上にはない点CからABに下ろした垂直な直線になっていることを示す。
 GHはHCと等しく、HCは共通なので、二辺GH、HCと二辺EH、HCとそれぞれ等しく、底辺CGは底辺CEは等しい。したがって、角CHGと角EHCは等しく[命題I-8]、隣り合っている。直線上に別の直線が立ち、隣り合う角が等しいときが直角であり、後者の直線が前者の直線の上に垂直であるといわれる[定義DI-10]。
 ゆえに、CHは与えられた点Cから下ろされ、与えられた無限直線ABに垂直である。これが求められていたことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888