命題III-10
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-10 円は他の円と二つより多い点で交わらない。
作成:2006-09-06
更新:2011-03-10

命題III-10

Κύκλος κύκλον οὐ τέμνει κατὰ πλείονα σημεῖα ἢ δύο.
 円は他の円と二つより多い点で交わらない。
 もしそうでないとすれば、円ABCは円DEFと二つより多い点B、G、F、Hで交わる。BHとBGを結び、それらがKとLで二等分されるものとする。KCとLMをそれぞれKとLからBHとBGに垂直に立て[命題I-11]、AとEまで延長する。
 円ABCにおいて、弦ACは弦BHを垂直に二等分しているので、円ABCの中心はAC上にある[命題III-1系]。同じく円ABCにおいて、弦NOは弦BGを垂直に二等分しているので、円ABCの中心はNO上にある[命題III-1系]。弦ACと弦NOは点P以外では交わらないから、点Pが円ABCの中心である。同じようにして、Pが円DEFの中心であることを示すことができる。したがって、互いに分割しあう二つの円ABCとDEFは共通の中心Pをもつ。これは矛盾である[命題III-5]。
 ゆえに、円は他の円と二つより多い点で交わらない。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888