命題I-26
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題I-26 二つの三角形において、二角がそれぞれ等しく、ある一辺が等しければ、残りの二辺もそれぞれ等しく、残りの角も等しい。
作成:2006-07-18
更新:2017-05-23

命題I-26

Ἐὰν δύο τρίγωνα τὰς δύο γωνίας δυσὶ γωνίαις ἴσας ἔχῃ ἑκατέραν ἑκατέρᾳ καὶ μίαν πλευρὰν μιᾷ πλευρᾷ ἴσην ἤτοι τὴν πρὸς ταῖς ἴσαις γωνίαις ἢ τὴν ὑποτείνουσαν ὑπὸ μίαν τῶν ἴσων γωνιῶν, καὶ τὰς λοιπὰς πλευρὰς ταῖς λοιπαῖς πλευραῖς ἴσας ἕξει [ἑκατέραν ἑκατέρᾳ] καὶ τὴν λοιπὴν γωνίαν τῇ λοιπῇ γωνίᾳ.
 二つの三角形において、二角がそれぞれ等しく、ある一辺が等しければ、残りの二辺もそれぞれ等しく、残りの角も等しい。
 三角形ABCとDEFにおいて、二角ABCとBCAがDEFとEFDにそれぞれ等しいとする。すなわち、ABCとDEF、BCAとEFDが等しい。さらにある一辺が等しいとする。まず最初に、等しい角に挟まれる辺が等しいとする。すなわち、BCとEFが等しいとする。このとき、残りの二辺はそれぞれ等しい、すなわち、ABとDE、ACとDFが等しく、残りの角も等しい、すなわち、BACとEDFが等しいと主張する。
 ABがDEと等しくないと仮定しよう。仮にABがDEより大きいとし、BGをDEと等しいようにとる[命題I-3]。そしてGCを結ぶ。
 BGとDE、BCとEFは等しいから、二辺GB、BCと二辺DE、EFがそれぞれ等しく、角GBCと角DEFが等しい。したがって、底辺GCは底辺DFに等しく、三角形GBCと三角形DEFは等しい。よって、等しい辺に対する残りの角は等しいから[命題I-4]、角GCBとDFEは等しくなるはずであるが、DFEはBCAと等しいと仮定されているから、BCGはBCAに等しくなり、小さいものが大きいものと等しくなる。これは矛盾である。これはABはDEに等しくないという仮定が間違っていたことを意味するから、ABはDEに等しく、BCもEFに等しい。二辺AB、BCと二辺DE、EFがそれぞれ等しく、角ABCは角DEFに等しいから、底辺ACは底辺DFに等しく、残りの角BACも残りの角EDFに等しい[命題I-4]。
 次に等しい角に対する辺が等しい場合を考えよう。例えば、ABがDEに等しいとしよう。このとき、残りの辺が残りの辺に等しい、すなわち、ACとDF、BCとEFが等しいこと、さらに残りの角BACが残りの角EDFに等しいことを示す。BCがEFと等しくないと仮定しよう。仮にBCが大きいとし、BHをEFと等しいようにとる[命題I-3]。そしてAHを結ぶ。BHとEF、ABとDEは等しいから、二辺AB、BHと二辺DE、EFがそれぞれ等しく、その挟む角が等しい。したがって、底辺AHは底辺DFに等しく、三角形ABHと三角形DEFは等しい。よって、等しい辺に対する残りの角は等しいから[命題I-4]、角BHAとEFDは等しくなるはずであるが、EFDはBCAと等しいと仮定されているから、三角形AHCにおいて、外角BHAが内対角BCAに等しくなる。これは矛盾である[命題I-16]。これはBCはEFに等しくないという仮定が間違っていたことを意味するから、それらは等しく、ABもDEに等しい。二辺AB、BCと二辺DE、EFがそれぞれ等しく、その挟む角も等しいから、底辺ACは底辺DFに等しく、三角形ABCは三角形DEFに等しい。そして残りの角BACも残りの角EDFに等しい[命題I-4]。
 ゆえに、二つの三角形において、二角がそれぞれ等しく、ある一辺が等しければ、残りの二辺もそれぞれ等しく、残りの角も等しい。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888