命題IV-13
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題IV-13 与えられた等辺で等角な五角形に円を内接させること。
作成:2006-09-18
更新:2011-03-10

命題IV-13

Εἰς τὸ δοθὲν πεντάγωνον, ὅ ἐστιν ἰσόπλευρόν τε καὶ ἰσογώνιον, κύκλον ἐγγράψαι.
 与えられた等辺で等角な五角形に円を内接させること。
 ABCDEを与えられた等辺で等角な五角形とする。五角形ABCDEに円を内接させることが求められている。
 角BCDとCDEを直線CFとDFによってそれぞれ二等分する[命題I-9]。直線CFとDFの交点Fから直線FA、FB、FEを結ぶ。BCはCDに等しく、CFは共通であるから、二辺BC、CFは二辺DC、CFにそれぞれ等しく、角BCFはDCFに等しい。したがって、底辺BFは底辺DFに等しく、三角形BCFは三角形DCFに等しい。対応する残りの角と辺も等しく[命題I-4]、角CBFはCDFに等しい。CDEはCDFの二倍で、CDEはABCに等しく、CDFはCBFに等しい。CBAもCBFの二倍であるから、角ABFはFBCに等しく、角ABCは直線BFで二等分されている。同じようにして、BAE、AEDが直線FAとFEでそれぞれ二等分されていることを示すことができる。
 FG、FH、FK、FL、FMを点Fから直線AB、BC、CD、DE、EAにそれぞれ垂直に引く[命題I-12]。角HCFはKCFに等しく、直角FHCはFKCに等しい。三角形FHCとFKCにおいて二角と一辺FCが等しいから、対応する残りの辺も等しい[命題I-26]。したがって、垂線FHは垂線FKに等しい。同じようにして、FL、FM、FGの各々もFHとFKの各々に等しいことを示すことができる。FG、FH、FK、FL、FMは互いに等しいから、Fを中心として、G、H、K、L、Mのいずれかを半径とする円を描けば、それは残りの点を通り、G、H、K、L、Mにおける角が直角であることから、直線AB、BC、CD、DE、EAに接する。もしこれらの直線が接していなければ、円を切り、円の直径の端点から直角に引かれた直線が円の内部に含まれることになり矛盾である[命題III-16]。したがって、Fを中心とし、G、H、K、L、Mのいずれかを半径とする円は直線AB、BC、CD、DE、EAを切ることはなく、それらに接する。
 ゆえに、与えられた等辺で等角な五角形に円を内接させることができた。これが求められていたことであった。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888