命題II-4
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題II-4 直線が二分割されるとき、全体の直線上の正方形は、各部分上の正方形と二つの部分の積である長方形の二倍の和に等しい。
作成:2006-08-01
更新:2011-03-10

命題II-4

Ἐὰν εὐθεῖα γραμμὴ τμηθῇ, ὡς ἔτυχεν, τὸ ἀπὸ τῆς ὅλης τετράγωνον ἴσον ἐστὶ τοῖς τε ἀπὸ τῶν τμημάτων τετραγώνοις καὶ τῷ δὶς ὑπὸ τῶν τμημάτων περιεχομένῳ ὀρθογωνίῳ.
 直線が二分割されるとき、全体の直線上の正方形は、各部分上の正方形と二つの部分の積である長方形の二倍の和に等しい。
(a+b)⊗(a+b) = a⊗a + b⊗b + 2(a⊗b)
 直線ABが任意の点Cで分割されているとする。このとき、AB上の正方形がACとCB上の正方形とACとCBの積である長方形の二倍の和に等しいと主張する。
 正方形ADEBをAB上に描き[命題I-46]、BDを結ぶ。CFはCを通り、ADとBEに平行に引く[命題I-31]。HKをGを通り、ABとDEに平行に引く[命題I-31]。CFはADに平行で、BDはそれらと交わるから、角CGBは同位角ADBと等しい[命題I-29]。ここで、BAはADに等しいから、ADBはABDに等しい[命題I-5]。よって角CGBはGBCに等しい。したがって、辺BCは辺CGに等しい[命題I-6]。ここでCBはGKに等しく、CGはKBに等しいから[命題I-34]、GKはKBに等しい。よってCGKBは等辺である。これが直角であることをいう。CGはBKに平行であるから、角KBCとGCBの和は二直角である[命題I-29]。ここでKBCは直角であるから、BCGも直角である。よって対角のCGKとGKBも直角であり[命題I-34]、CGKBは直角である。これは等辺であったから、CB上の正方形である。同じ理由でHFも正方形で、HGそしてAC上にある[命題I-34]。したがって、正方形HFとKCはACとCB上にある。そしてAGはGEに等しい[命題I-43]。CGとCBは等しいから、AGはACとCBの積であり、GEもACとCBの積である。したがってAGとGEの和はACとCBの積である長方形の二倍に等しい。HFとCKはACとCB上の正方形であったから、四つの図形HF、CK、AG、GEはACとBC上の正方形とACとCBの積である長方形の二倍に等しい。ここで、HF、CK、AG、GEはAB上の正方形である全体のADEBを構成している。したがってAB上の正方形はACとBC上の正方形とACとCBの積である長方形の二倍に等しい。
 ゆえに、直線が二分割されるとき、全体の直線上の正方形は、各部分上の正方形と二つの部分の積である長方形の二倍の和に等しい。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888