命題I-34
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題I-34 平行四辺形において、向かい合う辺と角は互いに等しく、対角線により二等分される。
作成:2006-07-22
更新:2011-03-10

命題I-34

Τῶν παραλληλογράμμων χωρίων αἱ ἀπεναντίον πλευραί τε καὶ γωνίαι ἴσαι ἀλλήλαις εἰσίν, καὶ ἡ διάμετρος αὐτὰ δίχα τέμνει.
 平行四辺形において、向かい合う辺と角は互いに等しく、対角線*1により二等分される。
 ACDBを平行四辺形とし、BCをその対角線とする。このとき、向かい合う辺と角は互いに等しく、対角線BCにより二等分されると主張する。
 ABとCDは平行で、BCはそれらと交わっているから、錯角ABCとBCDは等しい[命題I-29]。ACとBDは平行で、BCはそれらと交わっているから、錯角ACBとCBDは等しい[命題I-29]。三角形ABCとBCDは、二つの角ABCとBCAがBCDとCBDにそれぞれ等しく、辺BCを共有しているので、残りの辺、残りの角もそれぞれ等しい[命題I-26]。したがって、ABとCD、ACとBDは等しく、角BACはCDBと等しい。角ABCはBCDに等しく、角CBDはACBに等しいから、それらの和である角ABDはACDに等しい。角BACがCDBと等しいことはすでに示されている。
 したがって、平行四辺形において、向かい合う辺と角は互いに等しい。
 次に対角線によって二等分されることを示そう。ABはCDに等しく、BCは共通で、AB、BCがDC、CBにそれぞれ等しい。角ABCはBCDに等しいから、ACはDBに等しく[命題I-4]、三角形ABCは三角形BCDは等しい[命題I-4]。
 ゆえに、対角線BCは平行四辺形ACDBを二等分する。これが証明すべきことであった。
注  記
*1対角線と訳しているが、原文は直径(διάμετρος, diameter)という言葉を使っている。本訳では直径は円の場合にのみ用い、多角形の直径は対角線と訳している。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888