命題I-21
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題I-21 三角形の任意の辺を底辺として、その三角形の内部に作られた三角形の底辺に対する二辺の和は、元の三角形の底辺に対する二辺の和より小さい、また底辺に対する角は、元の三角形の底辺に対する角より大きい。
作成:2006-07-17
更新:2011-03-10

命題I-21

Ἐὰν τριγώνου ἐπὶ μιᾶς τῶν πλευρῶν ἀπὸ τῶν περάτων δύο εὐθεῖαι ἐντὸς συσταθῶσιν, αἱ συσταθεῖσαι τῶν λοιπῶν τοῦ τριγώνου δύο πλευρῶν ἐλάττονες μὲν ἔσονται, μείζονα δὲ γωνίαν περιέξουσιν.
 三角形の任意の辺を底辺として、その三角形の内部に作られた三角形の底辺に対する二辺の和は、元の三角形の底辺に対する二辺の和より小さい、また底辺に対する角は、元の三角形の底辺に対する角より大きい。
 三角形ABCの辺BCを底辺として、その両端から内点Dへ直線BDとDCを引く。BDとDCの和がBAとACの和よりも小さく、角BDCが角BACよりも大きいと主張する。
 BDをEまで延ばす。三角形の二辺の和は残りの辺より大きいから[命題I-20]、三角形ABEにおいて、ABとAEの和はBEよりも大きい。両方にECを加えると、BAとACの和はBEとECの和よりも大きい。また、三角形CDEにおいて、CEとEDの和はCDより大きいから、DBを両方に加えると、CEとEBの和はCDとDBの和より大きい。ここで、BAとACの和はBEとECの和より大きいから、さらにBDとDCの和より大きい。
 任意の三角形において外角は内対角より大きいから[命題I-16]、三角形CDEの外角BDCはCEDより大きい。したがって、同じ理由で三角形ABEの外角CEBはBACより大きい。BDCはCEBより大きいから、BDCはBACより大きい。
 ゆえに、三角形の任意の辺を底辺として、その三角形の内部に作られた三角形の底辺に対する二辺の和は、元の三角形の底辺に対する二辺の和より小さい、また底辺に対する角は、元の三角形の底辺に対する角より大きい。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888