命題IV-8
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題IV-8 与えられた正方形に円を内接させること。
作成:2006-09-15
更新:2011-03-10

命題IV-8

Εἰς τὸ δοθὲν τετράγωνον κύκλον ἐγγράψαι.
 与えられた正方形に円を内接させること。
 与えられた正方形をABCDとする。このとき、正方形ABCDに内接する円を描くことが求められている。
 ADとABをそれぞれEとFで二等分し[命題I-10]、EHをEを通り、ABとCDに平行に、FKをFを通り、ADとBCに平行に引く[命題I-31]。AK、KB、AH、HD、AG、GC、BG、GDの各々は平行四辺形であり、向かい合う辺が等しい[命題I-34]。ADがABに等しく、AEはADの半分、AFはABの半分であるから、AEはAFに等しく、向かい合う辺FGもGEに等しい。同じようにして、GHとGKの各々がFGとGEの各々と等しいことを示すことができる。したがって、四つの直線GE、GF、GH、GKは互いに等しく、Gを中心としてE、F、H、Kのいずれかを半径とする円を描くとそれは残りの点を通る。そして、E、F、H、Kにおける角が直角であることから、その円は直線AB、BC、CD、DAに接する。なぜならば、もしこれらの直線AB、BC、CD、DAが円を切ったとすれば、円の直径の端点から直角に引かれた直線が円の内部に含まれることになって矛盾するからである[命題III-16]。したがって、Dを中心として、E、F、G、Kのいずれかを半径として円を描けば、直線AB、BC、CD、DAを切ることはなく、それらに接する。すなわちその円は正方形ABCDに内接する。
 ゆえに、与えられた正方形に円を内接させることができた。これが求められていたことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888