命題II-12
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題II-12 鈍角三角形において、鈍角に対する辺上の正方形は、鈍角を挟む二辺上の正方形の和より、鈍角を挟む一つの辺とその辺の延長へ下ろされた垂線までの延長部分の積である長方形の二倍だけ大きい。
作成:2006-08-08
更新:2011-03-10
更新:2011-03-10
命題II-12
Ἐν τοῖς ἀμβλυγωνίοις τριγώνοις τὸ ἀπὸ τῆς τὴν ἀμβλεῖαν γωνίαν ὑποτεινούσης πλευρᾶς τετράγωνον μεῖζόν ἐστι τῶν ἀπὸ τῶν τὴν ἀμβλεῖαν γωνίαν περιεχουσῶν πλευρῶν τετραγώνων τῷ περιεχομένῳ δὶς ὑπό τε μιᾶς τῶν περὶ τὴν ἀμβλεῖαν γωνίαν, ἐφ᾽ ἣν ἡ κάθετος πίπτει, καὶ τῆς ἀπολαμβανομένης ἐκτὸς ὑπὸ τῆς καθέτου πρὸς τῇ ἀμβλείᾳ γωνίᾳ.鈍角三角形において、鈍角に対する辺上の正方形は、鈍角を挟む二辺上の正方形の和より、鈍角を挟む一つの辺とその辺の延長へ下ろされた垂線までの延長部分の積である長方形の二倍だけ大きい。
c⊗c = a⊗a + b⊗b + 2(b⊗d) |
ABCを、BACが鈍角であるような鈍角三角形とする。BDをBからCAの延長へ下ろした垂線とする[命題I-12]。このとき、BC上の正方形はBAとAC上の正方形の和より、CAとADの積である長方形の二倍だけ大きいと主張する。
直線CDが点Aで分割されているから、DC上の正方形はCAとAD上の正方形とCAとADの積である長方形の二倍の和に等しい[命題II-4]。DB上の正方形を両方に加えると、CDとDB上の正方形の和は、CA、AD、DB上の正方形とCAとADの積である長方形の二倍の和に等しい。ここで、角Dは直角であるからCDとDB上の正方形の和はCB上の正方形に等しく[命題I-47]、ADとDB上の正方形の和はAB上の正方形に等しい[命題I-47]。したがって、CB上の正方形の和は、CA、AB上の正方形とCAとADの積である長方形の二倍の和に等しい。これはCB上の正方形はCAとAB上の正方形の和より、CAとADの積である長方形の二倍だけ大きいことを意味している。
ゆえに、鈍角三角形において、鈍角に対する辺上の正方形は、鈍角を挟む二辺上の正方形の和より、鈍角を挟む一つの辺とその辺の延長へ下ろされた垂線までの延長部分の積である長方形の二倍だけ大きい。これが証明すべきことであった。
Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888