命題V-17
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題V-17 統合された比が比例するならば、分離しても比例する。
作成:2006-10-14
更新:2011-03-10

命題V-17

Ἐὰν συγκείμενα μεγέθη ἀνάλογον ᾖ, καὶ διαιρεθέντα ἀνάλογον ἔσται.
 統合された比が比例するならば、分離しても比例する。
 四つの量α,β,γ,δについて次が成り立つ。
(α+β):β = (γ+δ):δ ⇒ α:β = γ:δ
 AB、BE、CD、DFにおいて統合された比が比例するとする。すなわち、AB対BEとCD対DFが等しいとする。このとき、AE対EBとCF対DFが等しいと主張する。
 GH、HK、LM、MNをAE、EB、CF、FDの等倍とし、KO、NPをEB、FDの等倍とする。
 GH、HKはAB、BEの等倍であるから、GH、GKはAE、ABの等倍である[命題V-1]。GH、LMはAE、CFの等倍であるから、GK、LMはAB、CFの等倍である。LM、MNはCF、FDの等倍であるから、LM、LNはCF、CDの等倍である[命題V-1]。LM、GKはCF、ABの等倍であるから、GK、LNはAB、CDの等倍である。HK、MNはEB、FDの等倍であり、KO、NPはEB、FDの等倍であるから、それらの和をとれば、HO、MPはEB、FDの等倍である[命題V-2]。AB対BEはCD対DFに等しいから、AB、CDの等倍であるGK、LNとEB、FDの等倍であるHO、MPについて、GKとHO、LNとMPを比較したときの大小及び相等関係が一致する[定義DV-5]。GKがHOより大きいと仮定し、両方からHKを取り去るとGHはKOより大きい。ここで、GKはHOより大きいから、LNもまたMPより大きく、両方からMNを取り去るとLMはNPより大きい。したがって、もしGHがKOより大きければ、LMはNPより大きい。同じようにしてGHとKO、LMとNPを比較したときの大小及び相等関係が一致することを示すことができる。よって、AE対EBはCF対FDに等しい[定義DV-5]。
 ゆえに、統合された比が比例するならば、分離しても比例する。これが証明すべきことであった。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888