命題V-1
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題V-1 二組の同数の量の組において、対応する量の各々が等倍の倍量であれば、全体の和も同じ倍数の倍量である。
作成:2006-09-19
更新:2011-03-10

命題V-1

Ἐὰν ᾖ ὁποσαοῦν μεγέθη ὁποσωνοῦν μεγεθῶν ἴσων τὸ πλῆθος ἕκαστον ἑκάστου ἰσάκις πολλαπλάσιον, ὁσαπλάσιόν ἐστιν ἓν τῶν μεγεθῶν ἑνός, τοσαυταπλάσια ἔσται καὶ τὰ πάντα τῶν πάντων.
 二組の同数の量の組において、対応する量の各々が等倍の倍量であれば、全体の和も同じ倍数の倍量である。
 二組の同数の量の組(α,β,γ,⋯)(mα,mβ,mγ,⋯), m∈ℕについて、次が成り立つ。
mα + mβ + mγ + ⋯ = m(α + β + γ + ⋯)
 AB、CDがE、Fの等倍の倍量であれば、ABとCDの和はEとFの和の同じ倍数の倍量であると主張する。
 AB、CDはE、Fの等倍の倍量であるから、ABにおけるEの倍数とCDにおけるFの倍数は等しい。ABをEに等しい量AG、GBに分割し、CDをFに等しい量CH、HDに分割すると、それぞれの分割数は等しい。AGはEに、CHはFに等しいから、AGとCHの和はEとFの和に等しい。同じように、GBはEに等しく、GBとHDの和はEとFの和に等しい。したがって、ABにおけるEに等しい量の数と、ABとCDの和におけるEとFの和に等しい量の数は等しい。よって、ABにおけるEによる倍数と、ABとCDの和におけるEとFの和による倍数は等しい。
 ゆえに、二組の同じ個数の量の組において、対応する量の各々が等倍の倍量であれば、全体の和も同じ倍数の倍量である。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888