関孝和とヤコブ・ベルヌーイへの挑戦
著者:梅谷 武
ベルヌーイ数は高次の冪和多項式を求める過程で発見されました。『ベルヌーイ数への物語』はその発見に至る過程を再現する実験を紹介するものですが、読む前に関とベルヌーイが取り組んだ問題そのものについて自分なりに考えておくことで、より深い理解が得られるでしょう。
作成:2013-10-05
更新:2013-10-05
一般に自然数
kに対して自然数列の
k次の冪和は
によって定義されます。
k=0のときは単位数の和です。
P0(n) = | | = 1+1+1+⋯+1 (n個の和) = n
|
k=1のときは自然数の和です。
P1(n) = | | = 1 + 2 + 3 + ⋯ + n = | |
|
k=2のときは平方数の和です。
P2(n) = | | = 12 + 22 + 32 + ⋯ + n2 = | |
|
k=3のときは立方数の和です。
P3(n) = | | = 13 + 23 + 33 + ⋯ + n3 = | |
|
関孝和とヤコブ・ベルヌーイはほぼ同じ時期に、任意に与えられたkに対してPk(n)を求めるという問題を考えました。これを考えるにあたって、もっとも基本的な性質は次のものです。
自然数
k>0が与えられたとき、
Pk(n)を
Pk-1(n),⋯,P1(n)を使って表わすこと。
これによりPk(n)が多項式であることがわかります。したがって次の問題を考えることができます。
自然数
k>0が与えられたとき、
Pk(n)の係数を求めること。
これは普通に手計算しようとするとかなり大きな計算になりますが、関もベルヌーイもこの計算を行なっている過程で、ベルヌーイ数を発見し、これを使って計算量を大幅に減らせることに気が付きました。
『ベルヌーイ数の物語』ではこの過程を再現する実験を行なっていますが、読者の中にはこの問題を自力で解ける人がいるはずです。もし高校生がこの問題を解いたとすれば、かなり数学的能力が高いと考えていいでしょう。そのときはぜひご一報ください。