命題VI-8
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題VI-8 直角三角形において直角から底辺に垂線が引かれるとき、垂線の両側の三角形は全体の三角形に相似であり、さらに互いに相似である。
作成:2006-12-10
更新:2011-03-10

命題VI-8

Ἐὰν ἐν ὀρθογωνίῳ τριγώνῳ ἀπὸ τῆς ὀρθῆς γωνίας ἐπὶ τὴν βάσιν κάθετος ἀχθῇ, τὰ πρὸς τῇ καθέτῳ τρίγωνα ὅμοιά ἐστι τῷ τε ὅλῳ καὶ ἀλλήλοις.
 直角三角形において直角から底辺に垂線が引かれるとき、垂線の両側の三角形は全体の三角形に相似であり、さらに互いに相似である。
 ABCを角BACを直角としてもつ直角三角形とし、ADがAからBCへ下ろした垂線とする[命題I-12]。このとき、三角形ABDとADCの各々は全体の三角形ABCと相似であり、さらに互いに相似であると主張する。
 角BACとADBはともに直角であるから等しい。二つの三角形ABCとABDにおいて角Bは共通であるから、残りの角ACBと残りの角BADは等しく[命題I-32]、三角形ABCはABDに等角である。したがって、三角形ABCの直角に向かう辺BCが三角形ABDの直角に向かう辺BAに対するように、三角形ABCの角Cに向かう辺ABは三角形ABDの角BADに向かう辺BDに対する。さらに、二つの三角形に共通な角Cに向かう辺AC対ADに等しい[命題VI-4]。よって、三角形ABCは三角形ABDと相似である[定義DVI-1]。同じようにして、三角形ADCが三角形ABCと相似であることを示すことができ、三角形ABDとADCの各々は全体の三角形ABCに相似である。
 次に三角形ABDとADCが互いに相似であると主張する。
 直角BDAは直角ADCに等しく、角BADは角Cに等しいことが示されているから、残りの角Bと残りの角DACは等しい[命題I-32]。よって、三角形ABDと三角形ADCは等角である。したがって、三角形ABDの角BADに向かう辺BDが三角形ADBの角Cに向かう辺DAに対するように、三角形ABDの角Bに向かう辺ADは三角形ADCの角DACに向かう辺DCに対する。さらに、直角に向かう辺BA対ACに等しい[命題VI-4]。したがって、三角形ABDと三角形ADCは互いに相似である。
 ゆえに、直角三角形において直角から底辺に垂線が引かれるとき、垂線の両側の三角形は全体の三角形に相似であり、さらに互いに相似である。

 これらのことから、直角三角形において直角から底辺に垂線が引かれるとき、垂線はそれにより分割される底辺の部分の比例中項になっていることは明らかである。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888