命題IV-5
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題IV-5 与えられた三角形に円を外接させること。
作成:2006-09-15
更新:2011-03-10
更新:2011-03-10
ABCを与えられた三角形とする。三角形ABCに外接する円を描くことが求められている。
直線ABとACを点DとEでそれぞれ二等分する[命題I-10]。点DとEから、直線ABとACのそれぞれに垂直な直線DFとEFを立てる。DFとEFは三角形ABCの内部で交わるか、辺BC上で交わるか、外部で交わるかのいずれかである。
最初に三角形ABCの内部の点Fで交わると仮定しよう。FB、FC、FAを結ぶ。ADとDBは等しく、DFは共通で、Dにおける角はともに直角であるから、底辺AFと底辺FBは等しい[命題I-4]。同じようにして、CFとAFが等しいことも示すことができる。したがって、FA、FB、FCは互いに等しく、Fを中心として、A、B、Cのいずれかを半径とする円を描けば、それは残りの点を通り、三角形ABCに外接している。
次にDFとEFが直線BC上の点Fで交わっているとしよう。AFを結ぶと、同じようにして点Fを中心とする円が三角形ABCに外接することを示すことができる。
最後にDFとEFが三角形ABCの外部の点Fで交わっているとしよう。AF、BF、CFを結ぶ。ADとDBは等しく、DFは共通で、Dにおける角はともに直角であるから、底辺AFと底辺BFは等しい[命題I-4]。同じようにして、CFとAFが等しいことも示すことができる。したがって、FA、FB、FCは互いに等しく、Fを中心として、FA、FB、FCのいずれかを半径とする円を描けば、それは残りの点を通り、三角形ABCに外接している。
ゆえに、与えられた三角形に円を外接させることができた。これが求められていたことであった。
Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888