論文型文書
梅谷 武
作成:2000-11-29 更新:2005-04-20
XeXで使用する文書型である論文型について定める。
IMS:20001129001; NDC:021.4; keywords:文書型, 論文型;
XeXにおいて文書という言葉はすべて
XML1.0が定める検証済みXML文書のことを意味します。文書型とは、文書の構成要素、論理構造及びレイアウトを定めるものです。構成要素と論理構造の構文はDTD(
Document Type Definition, 文書型定義)によって定義されます。レイアウトはDTDに定められた構文の意味解釈としてXeX処理系が定めるものです。
現時点では、文書型として論文型のみが定義されています。この詳細については以下を参照してください。
XeXにおいては、あらゆる文書型で共通のメタデータ形式を持たせます。これについては別に定義することにします。
現時点では、文字符号化法としてシフトJISのみを採用し、フォントは標準的な日本語環境で表示できるものに限っています。これによって日本語環境向けの文書整形システムになっています。
XeXは、論理型文書を、標準HTMLブラウザでディスプレイ上で表示するためのHTML形式と、プリンタで印刷するための中間形式としてのTeX形式及び最終形式としてのPDF形式の3種類の形式へ同じイメージで表現されるように変換します。
論文型文書をHTML形式で表現するときのスタイルシートは、CSS2に準拠した形式で定義されています。TeX形式で表現するときの文書クラスは
jarticleスタイルファイルとしては以下のものを使用しています。
- ascmac
- theorem
- enumerate
- supertabular
- amsmath
- amssymb
- graphicx
- myhyper(dviout for Windows付属)
HTML形式では段落の前後に空白を入れます。TeX形式では前のみに\medskipが挿入されます。この違いはHTML形式ではpタグが連続した場合に、段落間が空き過ぎないように自動的に調整されることによります。
<p>あいうえお</p><p>かきくけこ</p>
<段落>あいうえお</段落><段落>かきくけこ</段落>
あいうえお
かきくけこ
あいうえお
かきくけこ
改行位置を<br />指定します。
改行位置を
指定します。
詳細は<cite>ISO/IEC 10646</cite>を参照してください。
詳細は
ISO/IEC 10646を参照してください。
<blockquote><p>私とは、私と環境である。私がもし私の環境を救わなければ、
私自身を救わないことになる。(オルテガ・イ・ガセット)
</p></blockquote>
私とは、私と環境である。私がもし私の環境を救わなければ、私自身を救わないことになる。(オルテガ・イ・ガセット)
斜体で<em>強調</em>します。
斜体で
強調します。
太字で<strong>強く強調</strong>します。
太字で
強く強調します。
x<sup>n</sup>+y<sup>n</sup>=z<sup>n</sup>
x
n+y
n=z
n
(x<sub>0</sub>,…,x<sub>n-1</sub>)
(x
0,…,x
n-1)
<ul>
<li>項目1</li>
<li>項目2</li>
<li>項目3</li>
</ul>
type属性で番号の種類を指定できます。(1:算用数字, a:アルファベット小文字,A:アルファベット大文字, i:ローマ数字小文字, I:ローマ数字大文字)
<ol>
<li>項目1</li>
<li>項目2</li>
<li>項目3</li>
</ol>
- 項目1
- 項目2
- 項目3
HTMLにおける表組みと同じ機能を持たせています。タグの各種属性はHTML形式には有効ですが、TeX形式では無視されます。captionを付けた場合、自動的に表番号が付けられ、"table"+"表番号"というアンカーが埋め込まれます。
<table border="1" align="center">
<caption>サンプル</caption>
<thead>
<tr><th>項目1</th><th>項目2</th><th>項目3</th></tr>
</thead>
<tbody>
<tr><td>値1</td><td>値2</td><td>値3</td></tr>
</tbody>
</table>
指定した位置に画像を貼り付けます。TeX形式では属性としてsrc, alt, width, heightのみが意味を持ちます。画像形式はHTML形式ではPNG形式を、TeX/PDF形式ではEPS形式使うことを推奨することにします。HTML形式とTeX/PDF形式で画像ファイル形式が異なるために画像ファイル名の拡張子はXeXが設定ファイルで指定した拡張子を自動的に付けるような仕様になっています。したがって、画像ファイルの拡張子は付けないようにしてください。alt属性を付けた場合、自動的に図番号が付けられ、"figure"+"図番号"というアンカーが埋め込まれます。
<img src="img/test" alt="テスト画像" width="379" height="190" />
テキストを等幅フォントで印刷したイメージを表現します。
<pre>
>path
PATH=C:\WINDOWS;C:\WINDOWS\COMMAND
></pre>
>path
PATH=C:\WINDOWS;C:\WINDOWS\COMMAND
>
<code>
function sample(x, y) { z = x + y; return z; }
</code>
function sample(x, y) { z = x + y; return z; }
href属性を付けた場合はリンクの出発点になります。name属性を付けた場合はリンクの到達点になります。
自分自身<a href="0.html">0.html</a>を参照します。
自分自身
0.htmlを参照します。
<u>underline</u>
underline
HTML形式では書体をTimes Roman体にして英語らしく表現します。TeX形式では変化はありません。
English,<en>English</en>
English,
English
欧語を表現するためタグです。TeXにおけるアクセント記号や特殊文字がそのまま使えますが、HTML形式との互換性を保つために使える記号は以下の表のものに限ります。
表2: ISO 8859-1(Latin 1)
表示 | TeX表記 | HTML表記 | UCS2 |
---|
§ | \S | § | #x00A7 |
¨ | \"{} | ¨ | #x00A8 |
´ | \'{} | ´ | #x00B4 |
¶ | \P | ¶ | #x00B6 |
À | \`{A} | À | #x00C0 |
Á | \'{A} | Á | #x00C1 |
 | \^{A} |  | #x00C2 |
à | \~{A} | à | #x00C3 |
Ä | \"{A} | Ä | #x00C4 |
Å | \v{A} | Å | #x00C5 |
Æ | \AE | Æ | #x00C6 |
Ç | \c{C} | Ç | #x00C7 |
È | \`{E} | È | #x00C8 |
É | \'{E} | É | #x00C9 |
Ê | \^{E} | Ê | #x00CA |
Ë | \"{E} | Ë | #x00CB |
Ì | \`{I} | Ì | #x00CC |
Í | \'{I} | Í | #x00CD |
Î | \^{I} | Î | #x00CE |
Ï | \"{I} | Ï | #x00CF |
Ñ | \~{N} | Ñ | #x00D1 |
Ò | \`{O} | Ò | #x00D2 |
Ó | \'{O} | Ó | #x00D3 |
Ô | \^{O} | Ô | #x00D4 |
Õ | \~{O} | Õ | #x00D5 |
Ö | \"{O} | Ö | #x00D6 |
Ø | \O | Ø | #x00D8 |
Ù | \`{U} | Ù | #x00D9 |
Ú | \'{U} | Ú | #x00DA |
Û | \^{U} | Û | #x00DB |
Ü | \"{U} | Ü | #x00DC |
Ý | \'{Y} | Ý | #x00DD |
ß | \ss | ß | #x00DF |
à | \`{a} | à | #x00E0 |
á | \'{a} | á | #x00E1 |
â | \^{a} | â | #x00E2 |
ã | \~{a} | ã | #x00E3 |
ä | \"{a} | ä | #x00E4 |
å | \aa | å | #x00E5 |
æ | \ae | æ | #x00E6 |
ç | \c{c} | ç | #x00E7 |
è | \`{e} | è | #x00E8 |
é | \'{e} | é | #x00E9 |
ê | \^{e} | ê | #x00EA |
ë | \"{e} | ë | #x00EB |
ì | \`{\i} | ì | #x00EC |
í | \'{\i} | í | #x00ED |
î | \^{\i} | î | #x00EE |
ï | \"{\i} | ï | #x00EF |
ñ | \~{n} | ñ | #x00F1 |
ò | \`{o} | ò | #x00F2 |
ó | \'{o} | ó | #x00F3 |
ô | \^{o} | ô | #x00F4 |
õ | \~{o} | õ | #x00F5 |
ö | \"{o} | ö | #x00F6 |
ø | \o | ø | #x00F8 |
ù | \`{u} | ù | #x00F9 |
ú | \'{u} | ú | #x00FA |
û | \^{u} | û | #x00FB |
ü | \"{u} | ü | #x00FC |
ý | \'{y} | ý | #x00FD |
ÿ | \"{y} | ÿ | #x00FF |
表3: その他の特別な文字
表示 | TeX表記 | HTML表記 | UCS2 |
---|
Œ | \OE | Œ | #x0152 |
œ | \oe | œ | #x0153 |
Š | \v{S} | Š | #x0160 |
š | \v{s} | š | #x0161 |
Ÿ | \"{Y} | Ÿ | #x0178 |
<eu>le fran\c{c}aise</eu>
le française
HTML形式では別の窓を開いて参照します。TeX形式ではaタグと同等です。
<rw href="0.html">0.html</rw>を別の窓で参照します。
0.htmlを別の窓で参照します。
HTML形式では背景を黒にして端末画面を表現します。TeX形式ではpreタグと同等です。
<con>
>path
PATH=C:\WINDOWS;C:\WINDOWS\COMMAND
></con>
>path
PATH=C:\WINDOWS;C:\WINDOWS\COMMAND
>
テキストの先頭・末尾の空白、文中の改行文字は変換時に削除されます。また、段落の先頭の字下げは指定しない限り行いませんので、字下げをしたい場合はこのタグを使います。これによって全角スペースが置かれます。
<ws />字下げします。
字下げします。
TeX形式でのみ意味を持ち、\newpageが挿入されます。
TeX形式でのみ意味を持ち、\clearpageが挿入されます。
命題環境は、LaTeXの定理型環境に対応するものです。属性には種類と別名があります。種類は、(定理|定義|条件|仮定|命題|補題|系|算法|算譜) からいずれかを選択しなければなりません。別名は任意のテキストが指定できます。命題環境には自動的に番号が付けられ、"prop"+"命題番号"というアンカーが埋め込まれます。
<命題 種類="定理" 別名="C(G)上の標準直交基底とそのFourier展開">
<qt>k=0,…,n-1</qt>について<qt>e_k(ζ^i)=ζ^{ik}</qt>によって
<qt>e_k:C(G)→R</qt>を定義すると<qt>\{e_k:k=0,…,n-1\}</qt>は
<qt>C(G)</qt>の直交基底となる。すなわち、任意の<qt>f∈C(G)</qt>は、
<qd>
f = 農{i=0}^{n-1}{(f,e_i)e_i}
</qd>
と一意的に表現することができる。これを<qt>f</qt>のFourier展開と呼ぶ。
</命題>
証明環境の属性には別名があります。別名は任意のテキストが指定できます。
<証明 別名="[1]による">
線形性は明らかである。条件3.を使うことによって以下のように同型性を
示すことができる。
<qdarray>
F^{-1}・F(f)(ζ^r) =
{n^{-1}農{t=0}^{n-1}{F(f)(ζ^t)ζ^{-tr}}} \\
{} = {n^{-1}農{t=0}^{n-1}{(農{s=0}^{n-1}{f(ζ^s)ζ^{st}})ζ^{-tr}}} \\
{} = {n^{-1}農{s=0}^{n-1}{f(ζ^s)(農{t=0}^{n-1}{ζ^{t(s-r)}})}}\\
{} = {n^{-1}f(ζ^r)(農{t=0}^{n-1}{ζ^0)}}\\
{} = f(ζ^r)
</qdarray>
</証明>
証明 ([1]による) 線形性は明らかである。条件3.を使うことによって以下のように同型性を示すことができる。
■
XeXにおいては数式を、W3Cの勧告であるMATHMLによってではなく、独自に定義した数式記述言語であるQMathによって記述します。これについては別に定めることにします。