7.4節 四元数による回転
著者:梅谷 武
語句:回転軸, 回転角
四元数による回転の表現について述べる。
作成:2009-09-25
更新:2021-03-28
ここではa ∈ S3に対応する回転φa,aの回転軸と回転角を求めます。
a ∈ S3, a ≠ ± eは次のように一意的に表現することができる。
a = cos | | e +
sin | | q,
θ ∈ (0,2π), q ∈ Im ℍ,
| | = 1
|
証明
a = a e + b q, | | = 1, b > 0
|
と書くと
a2 + b2 = 1より、
θ ∈ (0,2π)が一意的に定まり、次が成り立つ。
■
a ∈ S3, a ≠ ± eが上のように三角関数表現されているとします。
φa,a(a-a) =
a-aより
は
φa,aに関して不変です。したがって、
Im ℍにおいて
qが生成する部分空間を
V := ℝ qとすると、
と直和分解され、
x ∈ Im ℍは
と分解されます。回転
φa,aは
φa,a(x)
= φa,a|V(r)
+ φa,a|V⊥(s),
φa,a|V(V) ⊂ V,
φa,a|V⊥(V⊥) ⊂ V⊥
|
と分解されます。
とおくと
(q,n,n⊥)は
Im ℍの正規直交基底であり、
φa,aのこの基底に対する行列表現
Aは
A :=
| | | |
|
となりますが、
| | |
| | (2cos2 | | - 1)n +
2cos | |
sin | | n⊥ |
|
| | |
| | |
| | |
より、
A =
| | | |
|
となり、
Aは
qを回転軸とし、回転角
θの二次元的回転であることがわかりました。
a ∈ S3, a ≠ ± eを
(7.1) | a = cos | | e +
sin | | q,
θ ∈ (0,2π),
q ∈ S2 := S3 ∩ Im ℍ
|
|
と一意的に表現するとき、
φa,aは
qを回転軸とする回転角
θの二次元的回転である。
q ∈ S2を回転軸とする回転角
θの二次元的回転を
と表記することにします。そうするとオイラー角による回転行列と四元数との対応は次のようになります。
(7.3) | R1(θ) ↔ R(θ,i),
R2(θ) ↔ R(θ,j),
R3(θ) ↔ R(θ,k)
|
|
これによりオイラー角による回転表現は容易に四元数に変換することができます。
R3(ψ)R1(θ)R3(φ) ↔
R(ψ,k)R(θ,i)R(φ,k)
|
[
1] L.S.ポントリャーギン,
数概念の拡張, 森北出版, 1995
[
2] H.D.エビングハウス,
数 (上), シュプリンガー・フェアラーク東京, 1991
[
3] H.D.エビングハウス,
数 (下), シュプリンガー・フェアラーク東京, 1991