6.4節 アフィン幾何
著者:梅谷 武
語句:アフィン変換, アフィン幾何
語句:アフィン変換, アフィン幾何
空間上のアフィン変換群の構造を決定する。
作成:2009-09-17
更新:2021-03-28
更新:2021-03-28
空間上の変換がアフィン変換であるとは、直線図形における辺の平行性を保存することです。言い換えれば、平行六面体を平行六面体に写すことです。平行性の保存によって同値な有向線分が同値な有向線分に写されることから、アフィン変換は空間に付随するベクトル空間の変換を誘導します。
証明
略■ 空間(U,V3)上のアフィン変換全体の集合は写像の合成に関して群を成し、これをアフィン変換群Affine(U)と書くことにします。平面幾何と同じ論法でアフィン変換の構造を決定することができます。
空間上の平行移動はアフィン変換であり、平行移動群Trans(U)はアフィン変換群の正規部分群になります。
補題6.4.1.6
アフィン変換群Affine(U)は平行移動群Trans(U)と原点の固定部分群GOにより、次のように分解される。(1) | Affine(U) = Trans(U)GO = { tg | t ∈ Trans(U), g ∈ GO } |
(2) | Trans(U) ∩ GO = {1} |
証明
略■ 空間(U,V3)上の正規直交座標系(O;e1,e2,e3)を固定して考えます。アフィン変換群Affine(U)はGL(4,ℝ)の部分群として次のように行列表現されます。
(6.1) |
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空間上の平行移動群Trans(U)は次のように行列表現されます。
(6.2) |
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アフィン変換に付随する線形変換全体のなす群はV3上の正則な実線形変換全体のなす一般線形群GL(V3,ℝ)であり、次のように行列表現されます。
この行列表現により、原点を固定するアフィン変換全体のなす固定部分群として
Affine(U)に埋め込まれています。
(6.3) |
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定理6.4.2.4 アフィン変換群の構造
アフィン変換群Affine(U)は、平行移動群Trans(U)に内部自己同型によって一般線形群GL(V3,ℝ)を作用させた半直積に同型である。Affine(U) ≅ Trans(U) ⋊ GL(V3,ℝ) |
証明
略■[1] 伊原 信一郎, 河田 敬義, 線型空間・アフィン幾何 (岩波基礎数学選書), 岩波書店, 1997
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