命題V-3
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題V-3 四つの量の組において、一項と三項がそれぞれ二項と四項の等倍の倍量であるとき、一項と三項の等倍をとれば、等位比により、それぞれ二項と四項の等倍の倍量となる。
作成:2006-09-20
更新:2011-03-10

命題V-3

Ἐὰν πρῶτον δευτέρου ἰσάκις ᾖ πολλαπλάσιον καὶ τρίτον τετάρτου, ληφθῇ δὲ ἰσάκις πολλαπλάσια τοῦ τε πρώτου καὶ τρίτου, καὶ δι᾽ ἴσου τῶν ληφθέντων ἑκάτερον ἑκατέρου ἰσάκις ἔσται πολλαπλάσιον τὸ μὲν τοῦ δευτέρου τὸ δὲ τοῦ τετάρτου.
 四つの量の組において、一項と三項がそれぞれ二項と四項の等倍の倍量であるとき、一項と三項の等倍をとれば、等位比により、それぞれ二項と四項の等倍の倍量となる。
 四つの量の組(mα,α,mβ,β), m∈ℕと自然数n∈ℕについて次が成り立つ。
n(mα):α
=
n(mβ):β
n(mα)
=
(nm)α
n(mβ)
=
(nm)β
 一項Aと三項Cがそれぞれ二項Bと四項Dの等倍の倍量であるとき、一項と三項の等倍EF、GHをとれば、それぞれ二項Bと四項Dの等倍の倍量となると主張する。
 EF、GHはそれぞれA、Cの等倍の倍量であるから、EFにおけるAの倍数とGHにおけるCの倍数は等しい。EFをAと等しい量EK、KFに分割し、GHをCと等しい量GL、LHに分割する。EK、KFの分割数とGL、LHの分割数は等しい。A、CはそれぞれB、Dの等倍で、EKはAに等しく、GLはCに等しいから、EK、GLはそれぞれB、Dの等倍である。同じ理由で、KF、LHはそれぞれB、Dの等倍である。
 六つの量の組(EK,B,GL,D,KF,LH)において、一項EKと三項GLがそれぞれ二項Bと四項Dの等倍の倍量であり、五項KFと六項LHがそれぞれ二項Bと四項Dの等倍の倍量であるから一項と五項の和EFと三項と六項の和GHはそれぞれ二項Bと四項Dの等倍の倍量である[命題V-2]。
 ゆえに、四つの量の組において、一項と三項がそれぞれ二項と四項の等倍の倍量であるとき、一項と三項の等倍をとれば、等位比により、それぞれ二項と四項の等倍の倍量となる。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888