1.2 有向量
著者:梅谷 武
語句:並進,ベクトル,アフィン平面,並進群,推移的,等質空間,アフィン空間,アフィン標構,アフィン座標,正規直交基底,余弦定理,内積,クロネッカーのデルタ,外積,ベクトル積,法線ベクトル
有向量に関する用語と記号を整理する。
作成:2010-05-10
更新:2011-03-08
 平面あるいは空間上の有向線分は、平面あるいは空間上の平行移動を定める。平面あるいは空間上の変換としての平行移動を並進へいしん, translationと呼ぶ。二つの有向線分が同じ並進を定めるとき同値であるとすると、平面あるいは空間上の有向線分全体をこの同値関係で分類することができる。この同値類をベクトルべくとる, vectorと呼ぶ。
 ベクトルとは平面あるいは空間上の並進を定めるものと考えてよい。
 始点と終点が一致するものも有向線分と考え、これにより生成されるベクトルを0すると、ベクトル全体の集合であるベクトル空間は実数上の線形空間となる。
 平面を点集合Eで表わす。平面E上のベクトル全体、すなわち平面E上の並進全体をV2と書くことにする。平面Eとベクトル空間V2の組(E,V2)アフィン平面あふぃんへいめん, affine planeと呼ぶ。
P ∈ E, aV2が与えられたとき、始点をPとする有向線分PQaを選び、
E × V2 longrightarrow E, (P,a) longmapsto Q := P + a
と定めることによりベクトル空間V2は加法群として平面Eに右から作用する。この加法群を並進群へいしんぐん, translation groupと呼ぶ。V2の加法は
P + 0
=
P,  P ∈ E, 0V2
               (P + a) + b
=
P + (a + b),   P ∈ E, a, bV2
が成り立つように定義されている。
 任意のP,Q ∈ Eについて、a = [PQ] ∈ V2によりP + a = Qとすることができる。この性質は群が推移的すいいてき, transitiveに作用しているといわれ、このとき、群が作用する集合は等質空間とうしつくうかん, homogeneous spaceと呼ばれる。
 アフィン平面(E,V2)において、平面Eは並進群V2の等質空間である。
 空間を点集合Uで表わす。空間U上のベクトル全体、すなわち空間U上の並進全体をV3と書くことにする。空間Uとベクトル空間V3の組(U,V3)アフィン空間あふぃんくうかん, affine spaceと呼ぶ。
P ∈ U, aV3が与えられたとき、始点をPとする有向線分PQaを選び、
U × V3 longrightarrow U,  (P,a) longmapsto Q := P + a
と定めることによりベクトル空間V3は並進群として空間Uに右から作用する。
 アフィン空間(U,V3)において、空間Uは並進群V3の等質空間である。
 アフィン平面(E,V2)に付随するベクトル空間V2は二次元実線形空間であり、基底となるベクトルの組(e1,e2)により、次のように表すことができる。
V2 = e1 + e2
V2の任意の元aは基底(e1,e2)により一意的に
a = λ1 e1 + λ2 e2,  λ1, λ2
と表され、写像
V2 longrightarrow 2a longmapsto1, λ2)
は実線形空間としての同型を与える。
 さらに、平面Eの原点Oを与えることにより、アフィン標構あふぃんひょうこう, affine frame(O;e1,e2)が定まる。平面E上の任意の点Pに対して
P  =  O + a,  aV2
なるaが一意的に定まるので、基底(e1,e2)を使って
P  =  O + λ1 e1 + λ2 e2,  λ1, λ2
と表現することができる。これにより定まる写像
E longrightarrow 2,  P longmapsto1, λ2)
は全単射であり、1, λ2)を点Pアフィン座標あふぃんざひょう, affine coordinatesと呼ぶ。
 アフィン空間(U,V3)に付随するベクトル空間V3は三次元実線形空間であり、基底となるベクトルの組(e1,e2,e3)により、
V3 = e1 + e2 + e3
と表すことができる。
V3の任意の元aは基底(e1,e2,e3)により一意的に
a = λ1 e1 + λ2 e2 + λ3 e3,  λ1, λ23
と表され、写像
V3 longrightarrow 3a longmapsto1, λ2, λ3)
は実線形空間としての同型を与える。
 さらに、Uの原点Oを与えることにより、アフィン標構(O;e1,e2,e3)が定まる。空間U上の任意の点Pに対して
P = O + aaV3
なるaが一意的に定まるので、基底(e1,e2,e3)を使って
P = O + λ1 e1 + λ2 e2 + λ3 e3,  λ1, λ23
と表現することができる。これにより定まる写像
U longrightarrow 3,  P longmapsto1, λ2, λ3)
は全単射であり、1, λ2, λ3)を点Pのアフィン座標と呼ぶ。
 平面ベクトルのノルムはベクトルの長さとして自然に定義することができる。ベクトルaV2は平面上に二点P,Qをとり、有向線分の同値類a=[PQ]と表わすことができる。このとき、線長量Lの単位u ∈ L+が定められているならば
  
:V2 longrightarrow a longmapsto
a
:=
PQ
u
によって、ノルムを定める。V2はこれによりノルム空間となる。
V2の基底(e1,e2)の各ベクトルの長さがともに単位uに等しく、互いに直交しているとき、正規直交基底せいきちょっこうきてい,orthonormal basisと呼ぶ。
 正規直交基底(e1,e2)を定め、ベクトルa
a = μ e1 + ν e2
と表現する。ベクトルaの長さをλ uとおくと、ピュタゴラスの定理から
λ u ⊗ λ u =
μ
u ⊗
μ
u +
ν
u ⊗
ν
u
が成り立ち、テンソル積の双線形性により、
λ2 = μ2 + ν2
となり、
λ = μ2 + ν2
と求めることができる。
 平面上の二点P,Qの距離をノルムを使って次のように定義することができる。
d(P,Q) :=
[PQ]
=
[OP] - [OQ]
これにより平面は距離空間となる。
 平面上の二つのベクトルa,bを、原点Oを始点とする有向線分により、a = [OP],  b = [OQ] と表わすとき、c = [PQ], θ=∠POQとおくと次が成り立つ。(余弦定理よげんていり, cosine theorem)
c
c
=
a
a
+
b
b
- 2 cos θ
a
b
 正規直交基底
e1 = lb72
1
0
rb72,   e2 = lb72
0
1
rb72
によって、二つのベクトルa,bが次のように座標表現されているとする。
                         a
=
λ1 e1 + μ1 e2   = lb72
λ1
μ1
rb72
b
=
λ2 e1 + μ2 e2   = lb72
λ2
μ2
rb72
このとき余弦定理は次のように表現される。
                    
2 - λ1)2 + (μ2 - μ1)2
=
12 + μ12) + (λ22 + μ22) - 2 cos θ λ12 + μ12 λ22 + μ22
cos θに関して整理すると次の公式が導かれる。
cos θ =
λ1λ2 + μ1μ2
λ12 + μ12 λ22 + μ22
 平面に付随するベクトル空間V2上の内積ないせき, inner productを次のように定義する。
V2 × V2 longrightarrow A,  (a, b) longmapstoa, b 〉 := cos θ
a
b
正規直交基底を使って表現し、単位uによる測定写像(u ⊗ u)-1を合成すれば、次のような実双線形形式となる。
V2 × V2 longrightarrow ,  (a, b) longmapsto (u ⊗ u)-1(〈 a, b 〉) = λ1 λ2 + μ1 μ2
慣例により測定写像(u ⊗ u)-1は書かない。
a, b〉 = ta b = ( λ1 μ1 ) lb72
λ2
μ2
rb72 = λ1 λ2 + μ1 μ2

命題1.2.4.4 内積の性質

平面に付随するベクトル空間V2上の内積は双線形かつ対称、正値である。すなわち、次が成り立つ。
(IN1) a + b, c 〉 = 〈 a, c 〉 + 〈 b, c 〉,  a,b,cV2
(IN2) a, b + c 〉 = 〈 a, b 〉 + 〈 a, c 〉,  a,b,cV2
(IN3) λ 〈 a, b 〉 = 〈 λ a, b 〉 = 〈 a, λ b 〉,  a,bV2, λ ∈
(IN4) a, b 〉 = 〈 b, a 〉,  a,bV2
(IN5) a, a 〉 ≧ 0aV2 かつ a, a 〉 = 0  ⇔  a = 0

命題1.2.4.5 内積とノルム(I)

平面上の任意のベクトルaについて、次が成り立つ。
(1)
a
= a, a

命題1.2.4.6 内積とノルム(II)

平面上の任意のベクトルa,bについて、次が成り立つ。
(2)
a, b 〉 =
1
2
lb36
a + b
a + b
-
a
a
-
b
b
rb36

命題1.2.4.7 シュヴァルツの不等式

平面上の任意のベクトルa,bについて、次が成り立つ。
(3)
a, b
a
b

命題1.2.4.9 正規直交性

平面に付随するベクトル空間V2上の正規直交座標系(O;e1,e2)について、次が成り立つ。
(4)
ei, ej 〉 = δij,  i,j = 1,2
 直線図形をその境界の頂点列ABCで表すときに直線図形の内部が有向線分AB, BC, CAの左側にあるとき、または回転が反時計回りであるとき、直線図形ABCは正の向きであるといい、右側にあるとき、回転が時計回りであるとき、負の向きであるという。正の向きの場合は表面、負の向きの場合は裏面を見ていると考える。
 向き付けられた平面図形の面積は正の向きの場合は正の面積量、負の向きの場合は負の面積量であると定める。
 平面に付随するベクトル空間V2上の外積がいせき, exterior productを次のように定義する。
V2 × V2 longrightarrow A,  (a, b) longmapsto ab := sin θ
a
b
これは二つの平面ベクトルa,bが張る平行四辺形の面積に他ならない。
 二つのベクトルが同じ場合は
aa = 0
と定義する。このことから
(a+b) ∧ (a+b) = ab + ba = 0
となり、
ab = - ba
が導かれる。
 正規直交基底により、二つのベクトルa,bが次のように座標表現されているとする。
                    a
=
λ1 e1 + μ1 e2 = lb72
λ1
μ1
rb72
b
=
λ2 e1 + μ2 e2 = lb72
λ2
μ2
rb72
このとき、
                    ab
=
( λ1 e1 + μ1 e2 ) ∧ ( λ2 e1 + μ2 e2 )
=
λ1 e1 ∧ ( λ2 e1 + μ2 e2 ) + μ1 e2 ∧ ( λ2 e1 + μ2 e2 )
=
λ1 μ2 e1e2 + μ1 λ2 e2e1
=
1 μ2 - μ1 λ2) e1e2
より、外積は次のように表現される。
V2 × V2 longrightarrow ,  (a,b) longmapsto ab = det(a,b) := λ1 μ2 - μ1 λ2

命題1.2.5.6 外積の性質

平面に付随するベクトル空間V2上の外積は双線形かつ交代である。すなわち、次が成り立つ。
(EXT1) ( a + b ) ∧ c = ac + bca,b,cV2
(EXT2) a ∧ ( b + c ) = ab + aca,b,cV2
(EXT3) λ ab = λ ab = a ∧ λ ba,bV2, λ ∈
(EXT4) aa = 0,  aV2
(EXT5) ab = - ba,  a,bV2
 空間内の平面上にアフィン標構(O;e1,e2)を定め、それに垂直な基底ベクトルe3を決めるときに、その決め方は二通りある。それは平面によって空間が二つの領域に分割されるからである。そのどちらに原点を始点とする有向線分が属するかということを二つのベクトルの外積を利用して表現する。
 外積e1e2が定める平行四辺形が表になる方向を正の方向、裏になる方向を負の方向と定める。そして、e3が外積e1e2の正の方向にあるとき、アフィン標構(O;e1,e2,e3)あるいは基底(e1,e2,e3)は右手系であるといい、負の方向にあるとき左手系であるという。
 空間ベクトルのノルムもベクトルの長さとして定義することができる。ベクトルaV3は空間内に二点P,Qをとり、有向線分の同値類a=[PQ]と表わすことができる。このとき、線長量Lの単位u ∈ L+が定められているならば
  
:V3 longrightarrow a longmapsto
a
:=
PQ
u
によって、ノルムを定める。V3はこれによりノルム空間となる。
 正規直交基底(e1,e2,e3)を定め、ベクトルa
a = μ e1 + ν e2 + ξ e3
と表現する。ベクトルaの長さをλ uとおくと、ピュタゴラスの定理から
λ u ⊗ λ u =
μ
u ⊗
μ
u +
ν
u ⊗
ν
u +
ξ
u ⊗
ξ
u
が成り立ち、テンソル積の双線形性により、
λ2 = μ2 + ν2 + ξ2
となり、
λ = μ2 + ν2 + ξ2
と求めることができる。
 空間内の二点P,Qの距離をノルムを使って次のように定義することができる。
d(P,Q) :=
[PQ]
=
[OP] - [OQ]
これにより空間は距離空間となる。
 空間内の二つのベクトルa,bの内積は、それらが同一平面上にあることから平面ベクトルの内積と同様に定義することができる。
V3 × V3 longrightarrow A,  (a,b) longmapstoa,b〉 := cos θ
a
b
正規直交基底(e1,e2,e3)を定めたときの内積の座標表現を求める。二つのベクトルa,bが次のように座標表現されているとする。
                    a
=
λ1 e1 + μ1 e2 + ξ1 e3 = lb96
λ1
μ1
ξ1
rb96
b
=
λ2 e1 + μ2 e2 + ξ2 e3 = lb96
λ2
μ2
ξ2
rb96
このとき余弦定理から次の公式が導かれる。
cos θ =
λ1λ2 + μ1μ2 + ξ1ξ2
λ12 + μ12 + ξ12λ22 + μ22 + ξ22
線長量の単位uにより
               
a
b
=
λ12 + μ12 + ξ12 u ⊗ λ22 + μ22 + ξ22 u
=
λ12 + μ12 + ξ12 λ22 + μ22 + ξ22 u ⊗ u
と書くことができるから、測定写像(u ⊗ u)-1を合成すると次のようになる。
V3 × V3 longrightarrow ,  (a,b) longmapsto (u ⊗ u)-1(〈a,b〉) = λ1 λ2 + μ1 μ2 + ξ1ξ2
慣例により測定写像(u ⊗ u)-1は書かない。
a,b〉 = ta b = ( λ1   μ1   ξ1 ) lb96
λ2
μ2
ξ2
rb96 = λ1 λ2 + μ1 μ2 + ξ1ξ2

命題1.2.8.2

空間に付随するベクトル空間V3上の内積は双線形かつ対称、正値である。すなわち、次が成り立つ。
(IN1) a + b, c 〉 = 〈 a, c 〉 + 〈 b, c 〉,  a,b,cV3
(IN2) a, b + c 〉 = 〈 a, b 〉 + 〈 a, c 〉,  a,b,cV3
(IN3) λ 〈 a, b 〉 = 〈 λ a, b 〉 = 〈 a, λ b 〉,  a,bV3, λ ∈
(IN4) a, b 〉 = 〈 b, a 〉,  a,bV3
(IN5) a, a 〉 ≧ 0aV3 かつ a, a 〉 = 0  ⇔  a = 0

命題1.2.8.3 内積とノルム(I)

空間内の任意のベクトルaについて、次が成り立つ。
(5)
a
= a, a

命題1.2.8.4 内積とノルム(II)

空間内の任意のベクトルa,bについて、次が成り立つ。
(6)
a, b 〉 =
1
2
lb48
a + b
a + b
-
a
a
-
b
b
rb48

命題1.2.8.5 シュヴァルツの不等式

空間内の任意のベクトルa,bについて、次が成り立つ。
(7)
a, b
a
b

命題1.2.8.6 正規直交性

空間に付随するベクトル空間V3上の正規直交基底(e1,e2,e3)について、次が成り立つ。
(8)
ei, ej 〉 = δij,  i,j = 1,2,3
 空間内の二つのベクトルa,bの外積abは平面ベクトルの外積を利用して定義する。正規直交基底(e1,e2,e3)により、二つのベクトルa,bが次のように座標表現されているとする。
a = λ1 e1 + μ1 e2 + ξ1 e3 = lb96
λ1
μ1
ξ1
rb96
b = λ2 e1 + μ2 e2 + ξ2 e3 = lb96
λ2
μ2
ξ2
rb96
三つの基底ベクトルの二つから生成される座標平面を考える。
W23 := e2 + e3V3
W31 := e3 + e1V3
W12 := e1 + e2V3
二つのベクトルa,bのこれらの座標平面への射影を次のように記す。
a23 = μ1 e2 + ξ1 e3b23 = μ2 e2 + ξ2 e3
a31 = ξ1 e3 + λ1 e1b31 = ξ2 e3 + λ2 e1
a12 = λ1 e1 + μ1 e2b12 = λ2 e1 + μ2 e2
各座標平面への射影の外積を計算する。
          a23b23
=
det (a23, b23) e2e3
=
( μ1 ξ2 - ξ1 μ2 ) e2e3 ∈ A23 := e2e3
a31b31
=
det (a31, b31) e3e1
=
( ξ1 λ2 - λ1 ξ2 ) e3e1 ∈ A31 := e3e1
a12b12
=
det (a12, b12) e1e2
=
( λ1 μ2 - μ1 λ2 ) e1e2 ∈ A12 := e1e2
これらの面積量はそれぞれ意味が異なるので別の種類の量と考える。そして空間ベクトルの外積を次のように定義する。
V3 × V3 longrightarrow A23 ⊕ A31 ⊕ A12,  (a,b) longmapsto ab
ab := a23b23 + a31b31 + a12b12
座標展開すると次のようになる。
          
( μ1 ξ2 - ξ1 μ2 ) e2e3 + ( ξ1 λ2 - λ1 ξ2 ) e3e1 + ( λ1 μ2 - μ1 λ2 ) e1e2
=
μ1
μ2
ξ1
ξ2
e2e3 -
λ1
λ2
ξ1
ξ2
e3e1 +
λ1
λ2
μ1
μ2
e1e2

命題1.2.9.2

空間に付随するベクトル空間V3上の二つのベクトルの外積は双線形かつ交代である。すなわち、次が成り立つ。
(EXT1) ( a + b ) ∧ c = ac + bca,b,cV3
(EXT2) a ∧ ( b + c ) = ab + aca,b,cV3
(EXT3) λ ab = λ ab = a ∧ λ ba,bV3, λ ∈
(EXT4) aa = 0,  aV3
(EXT5) ab = - ba,  a,bV3
 空間内の二つのベクトルabが張る平行四辺形の面積量はaからbへ反時計回りに向かう角度をθとすると次のように表すことができる。
sin θ
a
b
これを座標表現で計算する。
          cos θ
=
λ1λ2 + μ1μ2 + ξ1ξ2
λ12 + μ12 + ξ12λ22 + μ22 + ξ22
sin θ
=
1 - cos2 θ
=
lb96
12 + μ12 + ξ12)(λ22 + μ22 + ξ22) - (λ1λ2 + μ1μ2 + ξ1ξ2)2
12 + μ12 + ξ12)(λ22 + μ22 + ξ22)
rb96
1
2
より、線長量の単位をu = e1 = e2 = e3とすると
          
sin θ
a
b
=
12 + μ12 + ξ12)(λ22 + μ22 + ξ22) - (λ1λ2 + μ1μ2 + ξ1ξ2)2  u ⊗ u
=
( μ1 ξ2 - ξ1 μ2 )2 + ( ξ1 λ2 - λ1 ξ2 )2 + ( λ1 μ2 - μ1 λ2 )2 u ⊗ u
となることから、三種類の有向面積量の直和A23 ⊕ A31 ⊕ A12上のノルムを
  
: A23 ⊕ A31 ⊕ A12 longrightarrow A+
λ e2e3 + μ e3e1 + ξ e1e2
:= λ2 + μ2 + ξ2 u ⊗ u
と定めると、abは二つのベクトルa,bを含む平面上でabが張る平行四辺形の面積量に一致する。

命題1.2.9.4

空間内の二つのベクトルa,bの外積abのノルムababが張る平行四辺形の面積量である。
 空間ベクトルの二項外積は座標系に依存するが、そのノルムは座標系に依存しない。
 空間内の二つのベクトルa,bの外積abに線形同型写像
Vec : A23 ⊕ A31 ⊕ A12 longrightarrow V3
λ e2e3 + μ e3e1 + ξ e1e2 longmapsto λ e1 + μ e2 + ξ e3
を合成して作られる空間ベクトル
a × b := Vec( ab )
ベクトル積べくとるせき, vector productと呼ぶ。これは二つのベクトルa,bを含む平面上でabが張る向き付けられた平行四辺形の法線ベクトルほうせんべくとる, normal vectorになっている。

命題1.2.10.2

空間内の二つのベクトルa,bのベクトル積a × bは、これらのベクトルが張る向き付けられた平行四辺形に直交し、正方向にある。さらに、その単位線長比は平行四辺形の単位面積比に一致する。
 ベクトル積a × bは、向き付けられた平行四辺形の法線方向と面積とを同時に表現する空間的量になっている。

命題1.2.10.4

空間に付随するベクトル空間V3上のベクトル積について次が成り立つ。
(VEC1) ( a + b ) × c = a × c + b × ca,b,cV3
(VEC2) a × ( b + c ) = a × b + a × ca,b,cV3
(VEC3) λ a × b = λ a × b = a × λ ba,bV3, λ ∈
(VEC4) a × a = 0aV3
(VEC5) a × b = - b × a,  a,bV3
 ベクトル積は結合的ではないが、次の性質によりベクトル空間V3はLie環になる。

命題1.2.10.6 Grassmann

空間に付随するベクトル空間V3上のベクトル積について次が成り立つ。
(9)
a × (b × c) = 〈a,cb - 〈a,bca,b,cV3

系1.2.10.7 Jacobi

空間に付随するベクトル空間V3上のベクトル積について次が成り立つ。
(10)
a × (b × c) + b × (c × a) + c × (a × b) = 0a,b,cV3
 空間内の三つのベクトルa,b,cの外積abcはそれらが張る平行六面体の有向体積量として定義される。次の同値な三条件が満たされるときに正方向とし、そうでないときに負方向と定める。
(1) bcの正方向にaがある。
(2) caの正方向にbがある。
(3) abの正方向にcがある。
この定義により次の性質が成り立つ。

命題1.2.11.2

空間に付随するベクトル空間V3上の三つのベクトルの外積
V3 × V3 × V3 longrightarrow D,  (a,b,c) longmapsto abc
は多重線形かつ交代であり、右手系の正規直交基底(e1,e2,e3)を定めるとき、その単位をuとすれば次が成り立つ。
e1e2e3 = u ⊗ u ⊗ u
 三つのベクトルa,b,cが次のように座標表現されているとする。
a = λ1 e1 + μ1 e2 + ξ1 e3 = lb96
λ1
μ1
ξ1
rb96
b = λ2 e1 + μ2 e2 + ξ2 e3 = lb96
λ2
μ2
ξ2
rb96
c = λ3 e1 + μ3 e2 + ξ3 e3 = lb96
λ3
μ3
ξ3
rb96
多重線形と交代性より
abc = det (a, b, c) e1e2e3
となり、単位uを使えば、
abc = det (a, b, c) u ⊗ u ⊗ u
と書くことができる。これに測定写像(u ⊗ u ⊗ u)-1を合成することにより、関数det
V3 × V3 × V3 longrightarrow ,  (a,b,c) longmapsto det (a,b,c)
が定まる。これは向きを変えない正規直交標構の座標変換に関して不変である。
 二項外積とベクトルとの外積を多重線形かつ交代となるように自然に拡張すると、例えば次のような計算ができる。
          
(ab) ∧ c
=
lb96 λ3
μ1
μ2
ξ1
ξ2
- μ3
λ1
λ2
ξ1
ξ2
+ ξ3
λ1
λ2
μ1
μ2
rb96 e1e2e3
=
abc
 関数det(3,3)行列に対する行列式を定める。
M(3,) longrightarrow lb96
a11
a12
a13
a21
a22
a23
a31
a32
a33
rb96 longmapsto
a11
a12
a13
a21
a22
a23
a31
a32
a33
行列式は乗法群としての準同型写像になっている。

命題1.2.11.6

AB
=
A
B
,  A,B ∈ M(3,)
[1] 梅谷 武, 幾何学事始, pisan-dub.jp, 2009
数  学
並進 へいしん, translation
ベクトル べくとる, vector
アフィン平面 あふぃんへいめん, affine plane
並進群 へいしんぐん, translation group
推移的 すいいてき, transitive
等質空間 とうしつくうかん, homogeneous space
アフィン空間 あふぃんくうかん, affine space
アフィン標構 あふぃんひょうこう, affine frame
アフィン座標 あふぃんざひょう, affine coordinates
正規直交基底 せいきちょっこうきてい,orthonormal basis
余弦定理 よげんていり, cosine theorem
内積 ないせき, inner product
クロネッカーのデルタ くろねっかーのでるた, Kronecker delta
外積 がいせき, exterior product
ベクトル積 べくとるせき, vector product
法線ベクトル ほうせんべくとる, normal vector
 
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