動詞の基礎
著者:梅谷 武
作成:2014-01-30
更新:2014-06-07

人称(person)

1人称(1st person) 話し手
2人称(2nd person) 聞き手
3人称(3rd person) それ以外の者(物)

数(number)

単数(singular)
複数(plural)

時制(tense)

現在(present) 現在の動作。一般的な真理。
未完了過去(imperfect) 過去に進行、継続、習慣、開始された動作。
未来(future) 未来に起こることが予想される動作。
完了(perfect) 現在から見てすでに完了している動作。
過去完了(pluperfect) 過去から見てすでに完了している動作。
未来完了(future perfect) 未来から見てすでに完了している動作。

態(voice)

能動態(active voice) 主語が動作の主体。
受動態(passive voice) 主語が動作の対象。

法(mood)

直説法(indicative mood) 事実を客観的に述べる。
接続法(subjunctive mood) 話し手の主観を交えつつ事実を述べる。
命令法(imperative mood) 命令を述べる。
不定法(infinitive mood)
 動名詞(gerund)は動詞から作られる中性・単数名詞であり、「~すること」という意味をもつ。同時に動詞としての機能をもち、目的語を取ることや副詞により修飾されることができる。
 動名詞は主格を持たず、属格・予格・対格・奪格の四格のみから成る。主格がないので対格で代表する。

生成規則Ⅰ 動名詞

          動名詞
=
現在幹 + ndum(第二曲用名詞単数の主格以外の四格)
 分詞(participle)とは動詞から作られる形容詞であると同時に動詞としての機能をもち、目的語を取ることや副詞により修飾されることができる。
 現在分詞(能動態)は「~しているところの」、完了分詞(受動態)は「~されたところの」という意味をもつ。
 完了分詞の中性・単数・主格(対格)は特に目的分詞と呼ばれ、辞書には完了分詞がこの形で掲載される。目的分詞は「~するために」という意味をもつ。
 目的分詞には「目的分詞幹 + u」という奪格形があり、「~することにおいて」という意味をもつ。
 未来分詞には能動態と受動態があり、能動態の未来分詞は「~しようとするところの」という意味をもつ。受動態の未来分詞は動形容詞(gerundive)と呼ばれ、「~されるべき」という意味をもつ。

生成規則Ⅱ 分詞

現在分詞(能動態)
=
現在幹 + ns(-ntis 第三曲用形容詞)
完了分詞(受動態)
=
現在幹 + tus,a,um(第一/二曲用形容詞)
目的分詞(受動態)
=
完了分詞の中性・単数・主格(対格)
未来分詞(能動態)
=
現在幹 + turus,a,um(第一/二曲用形容詞)
動形容詞 = 未来分詞(受動態)
=
現在幹 + ndus,a,um(第一/二曲用形容詞)

生成規則Ⅲ 直説法・能動態

直説法・能動態・現在
=
現在幹 + 能動態人称語尾
直説法・能動態・未完了過去
=
現在幹 + ba + 能動態人称語尾
直説法・能動態・未来
=
現在幹 + bi/a/e + 能動態人称語尾
直説法・能動態・完了
=
完了幹 + 完了形人称語尾
直説法・能動態・過去完了
=
完了幹 + sum未完了過去形
直説法・能動態・未来完了
=
完了幹 + sum未来形

能動態人称語尾

単数 複数
1人称 -o/-m -mus
2人称 -s -tis
3人称 -t -nt

完了形人称語尾

単数 複数
1人称 -i -imus
2人称 -isti -istis
3人称 -it -erunt/-ere

生成規則Ⅳ 直説法・受動態

直説法・受動態・現在
=
現在幹 + 受動態人称語尾
直説法・受動態・未完了過去
=
現在幹 + ba + 受動態人称語尾
直説法・受動態・未来
=
現在幹 + bi/a/e + 受動態人称語尾
直説法・受動態・完了
=
完了分詞 sum現在形 (分詞句)
直説法・受動態・過去完了
=
完了分詞 sum未完了過去形 (分詞句)
直説法・受動態・未来完了
=
完了分詞 sum未来形 (分詞句)

受動態人称語尾

単数 複数
1人称 -or -mur
2人称 -ris -mini
3人称 -tur -ntur
 現在は「~すること」、完了は「~したこと」、未来は「~するだろうこと」という意味をもつ。

生成規則Ⅶ 不定法・能動態

不定法・能動態・現在
=
現在幹 + re
不定法・能動態・完了
=
完了幹 + isse
不定法・能動態・未来
=
未来分詞 esse (分詞句)
 現在は「~されること」、完了は「~されたこと」、未来は「~されるだろうこと」という意味をもつ。

生成規則Ⅷ 不定法・受動態

不定法・受動態・現在
=
現在幹 + ri/i
不定法・受動態・完了
=
完了分詞 esse (分詞句)
不定法・受動態・未来
=
目的分詞 iri (分詞句)
名詞用法
 中性・単数として扱われ、主格と対格のみ取り得る。
対格不定法
 不定法の意味上の主語と主動詞の主語が異なるとき、不定法の主語を対格にし、補語の形容詞も対格にする。
歴史的不定法
 物語や歴史記述の中で直説法・能動態・未完了過去あるいは完了の代わりに用いられる。
 命令法・能動態の時制には現在と未来があり、前者は命令がただちに実行されるべき場合、後者は命令が将来実行されるべき場合に用いられる。

生成規則Ⅴ 命令法・能動態

命令法・能動態・現在(2人称単数)
=
現在幹                    
命令法・能動態・現在(2人称複数)
=
現在幹 + te
命令法・能動態・未来(2人称単数)
=
現在幹 + to
命令法・能動態・未来(2人称複数)
=
現在幹 + tote
命令法・能動態・未来(3人称単数)
=
現在幹 + to
命令法・能動態・未来(3人称複数)
=
現在幹 + nto/unto
 命令法・受動態の時制には現在と未来があり、前者は命令がただちに実行されるべき場合、後者は命令が将来実行されるべき場合に用いられる。
 命令法・受動態・現在(2人称単数)は不定法・能動態・現在と同じであり、命令法・受動態・現在(2人称複数)は直説法・受動態・現在と同じである。

生成規則Ⅵ 命令法・受動態

命令法・受動態・現在(2人称単数)
=
現在幹 + re             
命令法・受動態・現在(2人称複数)
=
現在幹 + mini
命令法・受動態・未来(2人称単数)
=
現在幹 + tor
命令法・受動態・未来(2人称複数)
=
-
命令法・受動態・未来(3人称単数)
=
現在幹 + tor
命令法・受動態・未来(3人称複数)
=
現在幹 + ntor

生成規則Ⅸ 接続法・能動態

接続法・能動態・現在
=
現在幹 + a/e + 能動態人称語尾
接続法・能動態・未完了過去
=
現在幹 + re + 能動態人称語尾
接続法・能動態・完了
=
直説法・能動態・未来完了(1人称単数のみ例外)
接続法・能動態・過去完了
=
完了幹 + isse + 能動態人称語尾

生成規則Ⅹ 接続法・受動態

接続法・受動態・現在
=
現在幹 + a/e + 受動態人称語尾
接続法・受動態・未完了過去
=
現在幹 + re + 受動態人称語尾
接続法・受動態・完了
=
完了分詞 sum接続法現在 (分詞句)
接続法・受動態・過去完了
=
完了分詞 sum接続法未完了過去 (分詞句)
 否定にはneを用いる。
接続法・現在
勧奨(1人称複数) 「~しましょう」
命令(2/3人称) 「~しなさい」
譲歩 「たとえ~であっても」
接続法・未完了過去
義務 「~すべきであった」
接続法・完了
禁止(2人称) ne (接続法完了) 「~するな」(強制的)
譲歩 「たとえ~であったとしても」
接続法・過去完了
義務 「~すべきであった」
 否定にはneを用いる。
実現可能な現在/未来の願望 現在「~することを願う」
実現可能な過去の願望 完了「~したことを願う」
実現不可能な現在/未来の願望 未完了過去「~できればいいのだが」
実現不可能な過去の願望 過去完了「~できたらよかったのだが」
 否定にはnonを用いる。
接続法・現在
可能性 「~するかもしれない」
懐疑・反問 疑問文で「~すべきであろうか」
接続法・未完了過去
可能性 「~したかもしれない」
懐疑・反問 疑問文で「~すべきであったろうか」
接続法・完了
可能性 「~するかもしれない」
主節の時制 従属節の時制
主節以前 主節と同時 主節以後
現在、未来、未来完了 完了 現在 未来分詞 sim (分詞句)
未完了過去、完了、過去完了 過去完了 未完了過去 未来分詞 essem (分詞句)
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