神々の系譜(3)
著者:梅谷 武
五穀の起源から。
作成:2007-11-23
更新:2011-03-10
 高天原を追放された後、須佐之男は大宜都比賣に食べ物を求めるが、大宜都比賣が鼻口尻から食べ物を出したため怒って殺してしまう。すると大宜都比賣の死体の各部から蚕、稲、粟、小豆、麥、大豆が生まれる。神產巢日がこれらを種とする。
 南洋とアメリカ大陸に次のような同型の神話があり、ドイツの民族学者アドルフ・イエンゼン(1899~1965)により、「ハイヌウェレ型神話」と名付けられた。
  1. 体から分泌物や排泄物を出すようにして食物を出す。
  2. 食物を出すところを見られて、怒りを買い殺される。
  3. 死体から主食となる植物が生まれ、農業の起源となる。

おほげつひめ(大氣津比賣神、大氣都比賣神、大宜都比賣神)

 伊豫之二名島(四國)の粟國の別名。伊邪那岐と伊邪那美の子。原文では一つの段落で三種類の漢字表記が使われている。
 須佐之男は出雲國肥の河上の鳥髮に降る。肥の河上で足名椎、手名椎と八俣の大蛇に捧げられようとしている櫛名田比賣に出会う。須佐之男は策を用いてその八俣の大蛇を退治する。大蛇の体から後に草薙の大刀と呼ばれる大刀が出てくる。須佐之男は櫛名田比賣と結婚し、須賀に宮を作る。

あしなづち(足名椎)

 大山津見神の子。

てなづち(手名椎)

 足名椎の妻。

くしなだひめ(櫛名田比賣)

 足名椎と手名椎の娘。

草薙(くさなぎ)の大刀

 三種の神器の一つ。

肥の河

 現在の斐伊川。現在は宍道湖に注いでいるが、 江戸時代以前は西に折れて日本海に注いでいた。

鳥髮(とりかみ)

 現在の船通山。

須賀(すが)

 須賀神社は須佐之男命が八岐大蛇退治の後に建てた宮殿が神社になったものと伝えられている。
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