5.1節 立体幾何の構成要素
著者:梅谷 武
語句:立体, 立体角, 角錐, 角柱, 球, 円錐, 円柱, 正多面体, 正四面体, 立方体, 正八面体, 正二十面体, 正十二面体
立体幾何の構成要素を定義する。
作成:2009-09-15
更新:2011-03-08
 原論には空間に対応する概念や言葉は出てきませんが、ここでは平面幾何のすべての構成要素が平面という点集合の部分集合であったように、立体幾何のすべての構成要素は空間という点集合の部分集合であると考えます。
 空間は点集合Uで表すことにします。
 立体は長さと幅と深さという三つの線長量を同時に持ち、境界が面になっているようなものとして定義されます。

定義5.1.2.2 (XI-1)

立体りったい, solidとは長さと幅と深さをもつものである。

定義5.1.2.3 (XI-2)

立体の端は面である。
 空間内の平面上では平面幾何をそのまま展開することができます。公準や公理もすべて有効です。

定義5.1.3.2 (XI-3)

直線が平面に直角であるとは、平面上でその直線と交わるすべての直線と直角をなすことである。

定義5.1.3.3 (XI-4)

平面が他の平面に直角であるとは、二つの平面の交線に垂直な一方の平面上の直線が他方の平面と直角をなすことである。

定義5.1.3.4 (XI-5)

直線の平面への傾きとは、直線の平面外の端点から平面へ降ろした垂線と平面の交点からその直線の平面上の端点を結ぶ直線との角のことである。

定義5.1.3.5 (XI-6)

平面の他の平面への傾きとは、二つの平面の交線に垂直で同じ点で交わる各々の平面上の直線がなす鋭角のことである。

定義5.1.3.6 (XI-7)

平面の他の平面への傾きが等しいとは、上の角が等しいことをいう。

定義5.1.3.7 (XI-8)

平行な平面とは交わらない平面のことである。
 立体における相似性は立体を囲む各面の相似性によって定義されます。

定義5.1.4.2 (XI-9)

相似な立体図形とは同数の相似な面に囲まれるものである。
 立体における合同性は立体を囲む各面の合同性によって定義されます。面の向きを考えていないので、運動だけでなく鏡映も許容されます。

定義5.1.4.4 (XI-10)

等しく相似な立体図形とは同数の相似で等しい面に囲まれるものである。
 平面角は頂点と辺に囲まれた領域であると考えましたが、立体角も頂点の周りの平面角に囲まれた領域と考えます。

定義5.1.5.2 (XI-11)

立体角りったいかく, solid angleとは、同一平面上になく、一点で交わる二つより多い直線のなす傾きである。言い換えれば、立体角とは、同一平面上になく、一点で交わる二つより多い平面角に囲まれるものである。
 角錐は平面上の直線図形の各頂点と平面外の一点を結んでできる立体です。

定義5.1.6.2 (XI-12)

角錐かくすい, pyramidとは、一つの面から一点への面によって囲まれる立体図形である。
 角柱は平行な二平面上の合同な直線図形の対応する各頂点を結んでできる立体です。

定義5.1.6.4 (XI-13)

角柱かくちゅう, prismとは、対辺が等しく相似で平行であり、残りの辺が平行四辺形であるような立体図形である。
 球は半円を回転してできる面に囲まれる立体図形として定義されます。

定義5.1.7.2 (XI-14)

きゅう, sphereとは、その固定された直径を半円が一回りして囲まれる図形である。

定義5.1.7.3 (XI-15)

球の軸とは、半円が回る固定された直線のことである。

定義5.1.7.4 (XI-16)

球の中心とは、その半円の中心のことである。

定義5.1.7.5 (XI-17)

球の直径とは、中心を通り、両方向で球の面を端点とする直線のことである。
 円錐は直角三角形を回転してできる面に囲まれる立体図形として定義されます。

定義5.1.8.2 (XI-18)

円錐えんすい, coneとは、直角三角形の直角を挟む一辺を固定し、一回りして囲まれる図形である。もう一辺と等しければ直角であり、もう一辺より短ければ鈍角であり、長ければ鋭角である。

定義5.1.8.3 (XI-19)

円錐の軸とは、回すときに固定された直線のことである。

定義5.1.8.4 (XI-20)

円錐の底面とは、軸の直角を挟むもう一辺によって描かれる面のことである。
 円柱は長方形を回転してできる面に囲まれる立体図形として定義されます。

定義5.1.8.6 (XI-21)

円柱えんちゅう, cylinderとは、長方形の直角を挟む一辺を固定し、一回りして囲まれる図形である。

定義5.1.8.7 (XI-22)

円柱の軸とは、回すときに固定された直線のことである。

定義5.1.8.8 (XI-23)

円柱の底面とは、二つ相対する辺によって描かれる面のことである。

定義5.1.8.9 (XI-24)

相似な円錐あるいは円柱とは、軸と底面の直径が比例するもののことである。
正多面体せいためんたい, regular polyhedronとは次の三つの条件を満たす立体です。
(合同性) すべての面は合同である。
(等角性) すべての面は正多角形である。
(内接性) 球に内接する。
 第XIII巻の最後にこれを満たすものが 正四面体せいしめんたい, regular tetrahedron、立方体、正八面体、正二十面体、正十二面体の五つしかないことが示されています。

定義5.1.9.3 (XI-25)

立方体りっぽうたい, cubeとは、六つの等しい正方形によって囲まれた立体図形である。

定義5.1.9.4 (XI-26)

正八面体せいはちめんたい, regular octahedronとは、八つの等しい正三角形によって囲まれた立体図形である。

定義5.1.9.5 (XI-27)

正二十面体せいにじゅうめんたい, regular icosahedronとは、二十の等しい正三角形によって囲まれた立体図形である。

定義5.1.9.6 (XI-28)

正十二面体せいじゅうにめんたい, regular dodecahedronとは、十二の等しい正五角形によって囲まれた立体図形である。
数  学
立体 りったい, solid
立体角 りったいかく, solid angle
角錐 かくすい, pyramid
角柱 かくちゅう, prism
きゅう, sphere
円錐 えんすい, cone
円柱 えんちゅう, cylinder
正多面体 せいためんたい, regular polyhedron
正四面体 せいしめんたい, regular tetrahedron
立方体 りっぽうたい, cube
正六面体(せいろくめんたい, regular hexahedron)と同義
正八面体 せいはちめんたい, regular octahedron
正二十面体 せいにじゅうめんたい, regular icosahedron
正十二面体 せいじゅうにめんたい, regular dodecahedron
 
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