命題VI-2
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題VI-2 三角形の一辺に平行な直線は他の二辺を比例するように分割する。また三角形の二辺が比例するように分割されるとき、分割する点を結ぶ直線は他の一辺に平行である。
作成:2006-11-26
更新:2011-03-10

命題VI-2

Ἐὰν τριγώνου παρὰ μίαν τῶν πλευρῶν ἀχθῇ τις εὐθεῖα, ἀνάλογον τεμεῖ τὰς τοῦ τριγώνου πλευράς: καὶ ἐὰν αἱ τοῦ τριγώνου πλευραὶ ἀνάλογον τμηθῶσιν, ἡ ἐπὶ τὰς τομὰς ἐπιζευγνυμένη εὐθεῖα παρὰ τὴν λοιπὴν ἔσται τοῦ τριγώνου πλευράν.
 三角形の一辺に平行な直線は他の二辺を比例するように分割する。また三角形の二辺が比例するように分割されるとき、分割する点を結ぶ直線は他の一辺に平行である。
 DEが三角形ABCの辺BCに平行であるとする。このとき、BD対DAはCE対EAに等しいと主張する。
 BEとCDを結ぶ。
 三角形BDEと三角形CDEは共通の底辺DEをもち、平行なDEとBCに挟まれているから等しい[命題I-38]。等しい量は同じ量に対して同じ比をもつことから[命題V-7]、三角形BDE対三角形ADEは三角形CDE対三角形ADEに等しい。ここで、三角形BDE対三角形ADEはBD対DAに等しい。なぜならば、二つの三角形は同じ高さ、すなわちEからABに垂直に引かれた直線をもつからである[命題VI-1]。同じ理由で三角形CDE対ADEはCE対EAに等しい。よって、BD対DAはCE対EAに等しい[命題V-11]。
 次に三角形ABCの辺ABとACが、BD対DAがCE対EAに等しいように分割され、DEを結ぶとDEはBCに平行であると主張する。
 BD対DAはCE対EAに等しく、BD対DAは三角形BDE対三角形ADEに、CE対EAは三角形CDE対三角形ADEに等しい[命題VI-1]。よって、三角形BDE対三角形ADEは三角形CDE対三角形ADEに等しい[命題V-11]。三角形BDEと三角形CDEは三角形ADEに対して同じ比をもつから、三角形BDEは三角形CDEに等しい[命題V-9]。これらは底辺DEを共有しているから、底辺が共通で等しい三角形は同じ平行線に挟まれていることから[命題I-39]、DEはBCに平行である。
 ゆえに、三角形の一辺に平行な直線は他の二辺を比例するように分割する。また三角形の二辺が比例するように分割されるとき、分割する点を結ぶ直線は他の一辺に平行である。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888