命題III-8
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-8 円の外部の点から円周上に直線が引かれるとき、円周の凹部に引かれた直線のうち、中心を通るものがもっとも長く、他の直線は中心により近いものがより長くなる。また円周の凸部に引かれた直線のうち、その点と中心の間に引かれたものがもっとも短く、他の直線はもっとも短い直線により近いものがより短くなる。そして、その点から円周上へ同じ長さの直線を、もっとも短い直線の両側へちょうど二つだけ引くことができる。
作成:2006-09-05
更新:2011-03-10

命題III-8

Ἐὰν κύκλου ληφθῇ τι σημεῖον ἐκτός, ἀπὸ δὲ τοῦ σημείου πρὸς τὸν κύκλον διαχθῶσιν εὐθεῖαί τινες, ὧν μία μὲν διὰ τοῦ κέντρου, αἱ δὲ λοιπαί, ὡς ἔτυχεν, τῶν μὲν πρὸς τὴν κοίλην περιφέρειαν προσπιπτουσῶν εὐθειῶν μεγίστη μέν ἐστιν ἡ διὰ τοῦ κέντρου, τῶν δὲ ἄλλων ἀεὶ ἡ ἔγγιον τῆς διὰ τοῦ κέντρου τῆς ἀπώτερον μείζων ἐστίν, τῶν δὲ πρὸς τὴν κυρτὴν περιφέρειαν προσπιπτουσῶν εὐθειῶν ἐλαχίστη μέν ἐστιν ἡ μεταξὺ τοῦ τε σημείου καὶ τῆς διαμέτρου, τῶν δὲ ἄλλων ἀεὶ ἡ ἔγγιον τῆς ἐλαχίστης τῆς ἀπώτερόν ἐστιν ἐλάττων, δύο δὲ μόνον ἴσαι ἀπὸ τοῦ σημείου προσπεσοῦνται πρὸς τὸν κύκλον ἐφ᾽ ἑκάτερα τῆς ἐλαχίστης.
 円の外部の点から円周上に直線が引かれるとき、円周の凹部に引かれた直線のうち、中心を通るものがもっとも長く、他の直線は中心により近いものがより長くなる。また円周の凸部に引かれた直線のうち、その点と中心の間に引かれたものがもっとも短く、他の直線はもっとも短い直線により近いものがより短くなる。そして、その点から円周上へ同じ長さの直線を、もっとも短い直線の両側へちょうど二つだけ引くことができる。
 ABCを円とし、DをABCの外部の点とする。Dから円周の凹部に直線DA、DE、DF、DCを引き、DAは中心を通るものとする。このとき、Dから円周の凹部AEFCに引かれた直線の中でもっとも長いものは中心を通るADで、DEはDFより長く、DFはDCより長い。またDから円周の凸部HLKGに引かれた直線の中でもっとも短いものはDと中心の間に引かれたDGであり、DKはDLより短く、DLはDHより短いと主張する。
 円の中心をMとする[命題III-1]。ME、MF、MC、MK、ML、MHを結ぶ。
 AMはEMに等しいから、両方にMDを加えるとADはEMとMDの和に等しい。ここで、EMとMDの和はEDより大きいから[命題I-20]、ADはEDより大きい。MEはMFに等しく、MDは共通であるから、二辺EM、MDは二辺FM、MDにそれぞれ等しく、角EMDは角FMDより大きいから、底辺EDは底辺FDより大きい[命題I-24]。同じようにしてFDがCDより大きいことを示すことができる。したがって、ADがもっとも長く、DEはDFより長く、DFはDCより長い。
 MKとKDの和はMDより大きく[命題I-20]、MGはMKに等しいから、KDはGDより大きい。したがって、GDはKDより小さい。三角形MLDはその内部にMDの両端から引かれる直線MKとKDを含むから、MKとKDの和はMLとLDの和より小さい[命題I-21]。MKとMLは等しいから、DKはDLより小さい。同じようにしてDLはDHより小さいことを示すことができる。したがって、DGがもっとも短く、 DKはDLより短く、DLはDHより短い。
 さらに、点Dから円周上へ同じ長さの直線を、もっとも短い直線DGの両側へちょうど二つだけ引くことができると主張する。角DMBを点Mから直線MD上に角KMDと同じにとり[命題I-23]、DBを結ぶ。MKとMBは等しく、MDは共通であるから、二辺KM、MDと二辺BM、MDがそれぞれ等しく、角KMDが角BMDに等しい。したがって、底辺DKは底辺DBに等しい[命題I-4]。それゆえ、Dから円周上へ引かれた他の直線がDKに等しくなることはないことを示せばよい。そうでないと仮定して、DNがその直線であるとしよう。DNはDKに等しく、DKがDBに等しいことから、DBはDNに等しくなる。これはDGにより近いものがより短いことに反する。したがって、点Dから円周上へ同じ長さの直線をこれ以上引くことはできない。
 ゆえに、円の外部の点から円周上に直線が引かれるとき、円周の凹部に引かれた直線のうち、中心を通るものがもっとも長く、他の直線は中心により近いものがより長くなる。また円周の凸部に引かれた直線のうち、その点と中心の間に引かれたものがもっとも短く、他の直線はもっとも短い直線により近いものがより短くなる。そして、その点から円周上へ同じ長さの直線を、もっとも短い直線の両側へちょうど二つだけ引くことができる。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888