命題III-4
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-4 円において、中心を通らない二つの弦が交わっているとき、互いに他を二等分することはない。
作成:2006-08-28
更新:2011-03-10

命題III-4

Ἐὰν ἐν κύκλῳ δύο εὐθεῖαι τέμνωσιν ἀλλήλας μὴ διὰ τοῦ κέντρου οὖσαι, οὐ τέμνουσιν ἀλλήλας δίχα.
 円において、中心を通らない二つの弦が交わっているとき、互いに他を二等分することはない。
 ABCDを円とし、中心を通らない弦ACとBDが点Eで交わっているとき、互いに他を二等分することはないと主張する。
 もし互いに他を二等分するならば、AEはECに等しく、BEはEDに等しい。円ABCDの中心をFとし[命題III-1]、FEを結ぶ。
 中心を通る直線FEが、中心を通らない弦ACを二等分しているから直角に交わる[命題III-3]。したがって、FEAは直角である。また弦BDも二等分しているから、FEBも直角である[命題III-3]。ここで、FEAも直角であるからFEAがFEBに等しくなるが、小さいものが大きいものに等しくなり矛盾する。よって、ACとBDは互いに他を二等分しない。
 ゆえに、円において、中心を通らない二つの弦が交わっているとき、互いに他を二等分することはない。これが証明すべきことであった。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888