命題III-36
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-36 円の外部にある点から、円に接する直線と円を切る直線が引かれたとき、円を切る直線の全体とその直線の円の外部にある部分の積である長方形は接線上の正方形に等しい。
作成:2006-09-14
更新:2011-03-10

命題III-36

Ἐὰν κύκλου ληφθῇ τι σημεῖον ἐκτός, καὶ ἀπ᾽ αὐτοῦ πρὸς τὸν κύκλον προσπίπτωσι δύο εὐθεῖαι, καὶ ἡ μὲν αὐτῶν τέμνῃ τὸν κύκλον, ἡ δὲ ἐφάπτηται, ἔσται τὸ ὑπὸ ὅλης τῆς τεμνούσης καὶ τῆς ἐκτὸς ἀπολαμβανομένης μεταξὺ τοῦ τε σημείου καὶ τῆς κυρτῆς περιφερείας ἴσον τῷ ἀπὸ τῆς ἐφαπτομένης τετραγώνῳ.
 円の外部にある点から、円に接する直線と円を切る直線が引かれたとき、円を切る直線の全体とその直線の円の外部にある部分の積である長方形は接線上の正方形に等しい。
a⊗c = b⊗b
 外部の点Dから円ABCへ二直線DCAとDBが引かれており、DCAは円を切り、DBは円に接しているとする。このとき、ADとDCの積である長方形はDB上の正方形に等しいと主張する。
 DCAは中心を通るか通らないかのどちらかである。最初に中心を通る場合を考えよう。Fを円ABCの中心とし、FBを結ぶ。角FBDは直角である[命題III-18]。直線ACはFで二等分され、CDがそれに加えられているから、ADとDCの積である長方形とFC上の正方形の和はFD上の正方形に等しい[命題II-6]。FCはFBに等しいから、ADとDCの積である長方形とFB上の正方形の和はFD上の正方形に等しい。また、FD上の正方形はFB上の正方形とBD上の正方形の和に等しいから[命題I-47]、ADとDCの積である長方形とFB上の正方形の和はFB上の正方形とBD上の正方形の和に等しい。両方からFB上の正方形を取り去ると、残りのADとDCの積である長方形とBD上の正方形は等しい。
 次にDCAが円ABCの中心を通らないとしよう。円の中心をEとし、EからACに垂直にEFを下ろす[命題I-12]。EB、EC、EDを結ぶ。角EBDは直角である[命題III-18]。EFは中心を通る直線で、中心を通らない弦ACに直角に交わっているから、二等分しており[命題III-3]、AFはFCに等しい。直線ACはFで二等分され、CDがそれに加えられているから、ADとDCの積である長方形とFC上の正方形の和はFD上の正方形に等しい[命題II-6]。両方にFE上の正方形を加えると、ADとDCの積である長方形とCF上の正方形とFE上の正方形の和はFD上の正方形とFE上の正方形の和に等しい。ここで、角EFCは直角であるから、CF上の正方形とFE上の正方形の和はEC上の正方形に等しく[命題I-47]、DF上の正方形とFE上の正方形の和はED上の正方形に等しい[命題I-47]。したがって、ADとDCの積である長方形とEC上の正方形の和はED上の正方形に等しい。ECはEBに等しいから、ADとDCの積である長方形とEB上の正方形の和は、ED上の正方形に等しい。ED上の正方形は、EB上の正方形とBD上の正方形の和に等しいから[命題I-47]、ADとDCの積である長方形とEB上の正方形の和は、EB上の正方形とBD上の正方形の和に等しい。両方からEB上の正方形を取り去ると、ADとDCの積である長方形がBD上の正方形に等しいことがわかる。
 ゆえに、円の外部にある点から、円に接する直線と円を切る直線が引かれたとき、円を切る直線の全体とその直線の円の外部にある部分の積である長方形は接線上の正方形に等しい。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888