命題III-2
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題III-2 円周上の二点を結ぶ直線上の点は円の内部に含まれる。
作成:2006-08-27
更新:2011-03-10

命題III-2

Ἐὰν κύκλου ἐπὶ τῆς περιφερείας ληφθῇ δύο τυχόντα σημεῖα, ἡ ἐπὶ τὰ σημεῖα ἐπιζευγνυμένη εὐθεῖα ἐντὸς πεσεῖται τοῦ κύκλου.
 円周上の二点を結ぶ直線上の点は円の内部に含まれる。
 ABCを円とし、円周上に任意の二点A、Bを定める。このときAとBを結ぶ直線上の点は円の内部に含まれると主張する。
 そうでないと仮定しよう。すなわち、AEBが円の外部にあるとし、円の中心をDとする[命題III-1]。DA、DB、DEを結び、DEと円との交点をFとする。
 このとき、DAとDBは等しいから、DAEとDBEは等しい[命題I-5]。三角形DAEの辺を延長したものがAEBであるから、角DEBはDAEより大きい[命題I-16]。DAEとDBEは等しいから、DEBはDBEより大きい。より大きい角に対する辺はより大きいから[命題I-19]、DBはDEより大きい。ここで、DBはDFに等しいから小さいものが大きいものより大きいことになり矛盾である。したがって、AとBを結ぶ直線が円の外部にあることはない。同じように円周上にあることもないことを示すことができる。よって内部にある。
 ゆえに、円周上の二点を結ぶ直線上の点は円の内部に含まれる。これが証明すべきことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888