命題I-44
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題I-44 与えられた直線を一つの辺とし、与えられた直線角を一つの角とし、与えられた三角形と同じ面積の平行四辺形を作図すること。
作成:2006-07-25
更新:2011-03-10

命題I-44

Παρὰ τὴν δοθεῖσαν εὐθεῖαν τῷ δοθέντι τριγώνῳ ἴσον παραλληλόγραμμον παραβαλεῖν ἐν τῇ δοθείσῃ γωνίᾳ εὐθυγράμμῳ.
 与えられた直線を一つの辺とし、与えられた直線角を一つの角とし、与えられた三角形と同じ面積の平行四辺形を作図すること。
 ABを与えられた直線、Cを与えられた三角形、Dを与えられた直線角とする。このとき、三角形Cの面積に等しく、直線ABを一つの辺とし、角Dを一つの角とする平行四辺形を作図することが求められている。
 平行四辺形BEFGを三角形Cと面積が等しく、角EBGがDと等しいようなものとする[命題I-42]。ここで、BEはABを延長して作るものとする。FGをHまで延長し、AHがAを通り、BGとEFに平行であるようにする[命題I-31]。そして、HBを結ぶ。直線HFは平行線AHとEFと交わるので、角AHFとHFEの和は二直角に等しい[命題I-29]。したがって、BHGとGFEの和は二直角より小さく、内角の和が二直角より小さいので、これらの直線は交わる[公準P-5]。すなわち、HBとFEを延長すると交わる。これらが交わる点をKとする。KLをKを通り、EAとFHに平行な直線とする[命題I-31]。HAとGBを延長して、この直線に交わる点をそれぞれLとMとする。HLKFは平行四辺形であり、HKはその対角線である。AGとMEは対角線を分割する平行四辺形であり、LBとBFはその補形である。したがって、LBとBFの面積は等しい[命題I-43]。ここで、BFの面積は三角形Cの面積に等しいから、LBの面積も三角形Cの面積に等しい。角GBEはABMに等しく[命題I-15]、GBEはDに等しいから、ABMも角Dに等しい。
 ゆえに、平行四辺形LBの面積は三角形Cの面積に等しく、角Dに等しい角ABMに与えられた直線ABを含む。これが求められていたことであった。
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Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888