命題I-14
著者:Ευκλείδης(J.L.Heiberg, Ed.)
命題I-14 ある直線上のある点において、その直線の同じ側にない二つの直線が交わり、隣り合う角が二直角であるとき、それらの二直線は一直線上にある。
作成:2006-07-16
更新:2011-03-10

命題I-14

Ἐὰν πρός τινι εὐθείᾳ καὶ τῷ πρὸς αὐτῇ σημείῳ δύο εὐθεῖαι μὴ ἐπὶ τὰ αὐτὰ μέρη κείμεναι τὰς ἐφεξῆς γωνίας δυσὶν ὀρθαῖς ἴσας ποιῶσιν, ἐπ᾽ εὐθείας ἔσονται ἀλλήλαις αἱ εὐθεῖαι.
 ある直線上のある点において、その直線の同じ側にない二つの直線が交わり、隣り合う角が二直角であるとき、それらの二直線は一直線上にある。
 直線AB上の点Bにおいて、同じ側にない二つの直線BCとBDが隣り合う角ABCとABDを作り、その和が二直角であるとする。このとき、BDとCBが一直線上にあると主張する。
 そのためにBDがBCと一直線上にはなく、BEがCBと一直線上にあると仮定する。
 そうすると、ABは直線CBE上に立ち、角ABCとABEの和は二直角に等しい[命題I-13]。しかし、ABCとABDの和も二直角であるから、CBAとABEの和はCBAとABDの和に等しい[公理A-1]。両方からCBAを引くと残りのABEはABDと等しくなる[公理A-3]。小さいものが大きいものに等しいというのは矛盾であり、BEはCBと一直線上にはない。同じようにしてBD以外の直線は一直線上にはないことを示すことができる。したがって、CBはBDと一直線上にある。
 ゆえに、ある直線上のある点において、その直線の同じ側にない二つの直線が交わり、隣り合う角が二直角であるとき、それらの二直線は一直線上にある。これが証明すべきことであった。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
Euclid(J.L.Heiberg), Euclidis Elementa, Leipzig. Teubner., 1883-1888